第84話「凄さが半減するミノリさん」
適当にぶらついて兵士達にアレンがどこにいるかを聞き、そこへ向かって学者コンビのことをアレンに報告。
アレンは絶望を滲ませた顔で膝をついた。
「もう来やがったのかよ……っ!」
どうやらアレンもあの二人を知ってるようだ。
「うちに住むことになったから」
「……!?…………っ!!」
いや、そんなこの世の終わりみたいな顔しなくても………
「アレンはまだいいじゃん。仕事で日中いないんだから。はぁ、安眠妨害されそうで気が滅入る……」
「寝る時間削ってたんじゃねぇのかよ」
「昼寝はパラダイスだ」
「意味が分からん」
昼寝の素晴らしさを理解できないとは……仕事人間め。
「……ところで、お前ここに来るのにどんだけ時間かかった?」
「何いきなり。20分くらいだけど」
膝をついたまま頭を抱えて呻くアレン。どうしたのさ。
「普通は2時間以上かかるっつーのに……しかも本人全然疲れてるように見えねぇし、枕に頬擦りしてるし……」
なんかブツブツ言ってる。
おい聞こえてるぞ。枕之助に愛情を注ぐのがそんなにおかしいか。
チラッと私を見て、再び頭を抱える。
「凄いけど、全く疲れてるように見えないから、全然凄く思えねぇ……!」
何が凄いのかさっぱり分からないけど、なんとなく貶された気がしたので枕之助でぼふっと叩いておく。
力を込めすぎたのか「ぼふっ」じゃなくて「ごすっ」っていったけど、兵士さんならこれくらい耐えられるだろう。
……アレンが地に伏したまま起き上がってこないけど、大丈夫だよね。
「おお!ミノリさんじゃないか!」
私を見かけた村人が喜色を浮かべて駆け寄ってきた。
ここも私が整備した村のひとつ。ちょっと辺鄙な場所で見つけるのに苦労したけど、森の奥にある巨大生物の巣窟に近いためラクサ村よりずっと危険な村だった。そのため村人の意見なんぞ知らぬと早急に整備した村。
最初は見知らぬ人に村を任せられるか!と反発する人も多かったけど、実際にその目で巨大生物が村を襲う前に罠にかかって難を逃れたのを確認してからというもの、村人には感謝されまくりな今日この頃である。
「本当にありがとねぇ。ミノリさんが整備してくれてなかったら今も毎日巨大生物の脅威に怯えていたよ」
「それ前も聞いた。やっぱり巨大生物の巣窟が近いと頻繁に来るかな?」
「そうだね……前よりはぐっと減ってるけど、それでも他の村に比べたら多い方だね」
やっぱり元凶を叩かないと話にならないか。
今のところは罠が通用してるけど、もし巨大生物の中に賢いやつがいたらその罠を掻い潜って村を襲うかもしれない。
せっかく安心安全改革をしたってのにそうなったら嫌だし、最悪巨大生物の巣窟を根絶やしにすることも視野に入れとこう。
「それでミノリさん、倒れてるこの兵士さんは……」
「寝てるだけだよ」
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