第25話「自己中万歳」
アレンの怒号とクラークの据わった目により再び着席。枕之助をぎゅっと抱き締めて、早よせいと言わんばかりの眼差しを送れば呆れた顔をされた。
「ここまで自分中心な女の子初めて見たよ」
「ここまで睡眠に貪欲なやつは初めて見た」
どんだけ自己中なんだよ、とその目が物語っている。仕方ないじゃん。これが私だ。
という訳でさっさと話してくれ。睡眠時間を無駄に削らないでほしい。
呆れた顔はそのままにまだ何か文句言いたげだったアレンだが、時間が惜しいのは向こうも同じなのかそれ以上は突っ込まずに説明しだした。皿の破片を片付けながら。
「まず始めに、ここはラクサ村っていう小さな村だ。住人はたったの9人。うち1人は放浪癖があってほぼいないから実質8人だな」
「ほーほー」
「アレンもよく仕事で村から出るじゃん」
「細かいことはいい。んでここはラクサ村みてぇな小さな村が点々と存在してる森の中だ。お前が昨日倒したスキュラムとかの巨大生物がうじゃうじゃいる」
大きな破片を素手で拾い小さな袋に入れたアレンは話を中断し「箒とちりとりどこだ」と聞いてきたが昔から家事全般家政婦さんがやってくれてたので掃除用具の場所は朧気にしか覚えていない。
頭に?を浮かべて首を傾げるとベチンッと頭を叩かれた。掃除用具の場所くらい覚えとけポンコツ家主、と悪態を吐きながらクラークに掃除用具を持ってきてくれと頼んだ。
「巨大生物は他の種族のように言葉が通じない。しかも凶暴だ」
「…はあ」
やばい眠くなってきた。
今寝たらまたアレンの暴力の餌食になってしまう。
「他所の世界から来たお前にとってはこの村の住人も巨大生物も不思議な生き物に分類されてるだろうが、この世界じゃそれが当たり前なんだ」
「……へー」
ああでも眠い……寝ながら聞けないかな……
眠い。ひたすら眠い……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます