美人で可愛い先輩とシェアハウス?!

モノ柿

生活の半分

第1話 愚痴と言う名の独白。



 幼い頃、友達と遊んだ記憶は色あせない。

 母の作ってくれたご飯も、父に教わった悪知恵も、兄に聞いた世界の神秘も。

 何もかもが俺の一部で、すべてが俺を形作っていた。


 俺が他人を避けるようになったのは中学の時。

 理由はいくつかあって、結局のところ、俺の浅慮が全ての原因ともいえた。

 少なくとも、俺がもう少し賢くさえあれば、俺以外は傷つかなくて済んだかもしれない。


 人との付き合い方に、少し疲れたのだと思う。

 色々あって、本当に様々なことが、俺の中では起こっていて。

 でもそれは、他人に言えるような代物ではなくて。

 己の恥部を見せびらかす趣味も、他人のそのような部分を面白おかしく口外する趣味もない。


 だから、それらに関することを、今話す気はない。



 これから話すのは俺の愚痴だ。



 高校に入り、平和に暮らして、平凡に生きる予定だった俺の人生を、めちゃくちゃにかき乱してくれた人たちへの大いなる愚痴。


 当たり障りのない一般人な俺と、特別で、特殊で、ありきたりでない、美しく、けなげで、可愛く、素晴らしい先輩たちと、それから、世界を揺るがす天才への、盛大なぼやき。


 ふざけるな。よくも巻き込みやがって。いつもいつも迷惑ばっかり。


 そんな風に過ぎ去っていった、俺の高校一年生の日々への手向け。

 もう二度と戻ってくることのない、一年という時間。

 美しく濁ったその日々に、別れを告げることは絶対にない。


 忘れることのできないような日々で、絶対に、忘れることはないから。

 でもだからこそ、一つだけ言えることは、やはり、人付き合いは苦手だということで。


 あの時、部活紹介のパンフレットなど見ずにもし、俺が気前よく野球部なんかに入っていたら、世界は、どう変わっていたのだろう。


 高校の取り決めに従うのは仕方ないにしても、それくらいの対抗はできたのではなかろうか。

 少なくとも、幽霊部員になろうだなんて陰鬱な風に考えていなければ、俺は。



 否、考えても仕方のないことだ。

 もうこんな思考実験は百度とした。


 だからまあ。

 少しだけ聞いてほしい。

 兄と、先輩に振り回された、高校一年生の俺の愚痴を。

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