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「いいじゃないの、好きな子がいるってことは」

 あしらうようにヒラヒラと片手を振ってリンが言う。ミケはやっぱりどこか決まりが悪そうだ。だって今までみんなゲイだと思って接してきたし、今日になって女の子が好きだってカミングアウトしたんだから。

「しかも女の子。いいじゃないの」

「梓も子供が出来たって言っていたし、ミケだってその可能性があるって事でしょ? いいじゃない」

「そ、そんなのずっと先のことよっ」

 あ、でも否定しないんだ?

「それに恋をすると人は綺麗になるって言うしね! 天然のエステをゲットしたのと同じよ」

 それって男の場合も適用されるの? 女の子はよく分かるけどさ。

「いいよね、ミケが女の子を好きになるって。正直最初は嘘だと思ったけど」

「いいよな、俺も嘘だと思ったけど」

 雪彦も幸樹もそう思ったよな。俺も。

「なによ、みんなして」

「ミケは昔から好きになったら一途なタイプだから、本当にその子が好きなんだなぁつて安心したってこと。俺たちみんなミケが幸せになって欲しいんだよ」

「それじゃぁ今までのあたしは幸せそうじゃなかったってこと?」

「うーん」

 返された言葉に雪彦は一瞬考えるような素振りを見せて、パッと表情を明るくして言った。

「幸せそうだったけど、今の子の方がミケを幸せにしてくれそうだから」

 にっこりとして答える雪彦に、それが漠然とした言葉だとは思うけれど俺も同意する。きっと彼女ならミケを幸せにしてくれるはずだから。

「俺も幸樹と一緒になれて幸せだしさ、勝手だけどみんなに幸せになって欲しいんだよね」

「ゆきひこぉ」

「ね、いつかその子と一緒にこうやって集まれる日が来ると良いよね!」

 いつかそんな日が来たら、そう思うとちょっとワクワクする? きっとその時独り身なのは俺とリンだけなんだろうな。リンの場合は自分大好きだからむしろ恋人連れて来たら驚くくらいだけど、俺の場合は・・・まぁ俺は俺の幸せをみんな知ってくれているから良いよな?

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