よっつめ



願わくば、あなたの顔を淡く染めるのが

私でありますように。

願わくば、私のそれが

彼に届きますように。

彼には相手がいることも、

彼が私を見ないことも、

全部わかってても、想いが止まらない。

止められない。

止めたく、ない。



私から 彼が消えることはなかった。

願いが叶わないものだということは

わかっていたつもりだった。

何もなかった頃になんて

もう戻れなかった。

記憶が色鮮やかなことが、

何よりの証拠だった。


頭では理解しているつもりでも

心が私に逆らい続ける。

性懲りも無く、

現れることのない扉を見つめて

今日も時間が過ぎていく。


彼の記憶から、消えるのはすぐだけど

彼の記憶から、消えるのが怖い。

彼の記憶から、消えるのはすぐだけど

彼の記憶は、まだ少しも色褪せない。


もう、私のことなんて

忘れてしまったでしょうか。

今となっては、

彼の心に傷のひとつでも

つけておけばよかったと思う。

そうすれば

すぐに忘れられることはなかったのに。

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