第10話 前世からの女性? (10)

 するとさ、彼女──。


 まあ、綺麗なお姉さんは好きですか? の、女性だけれど。


「ご、ごめんなさい、あなた、許してください……。もう二度としませんから……と、言うか? もうわたくしは、こんな状態でいるのは嫌です……。だから、あなた、助けてください……。それと今度こそあなたに尽くし、寄り添いますから、妻のわたくしを命に代えても守ってください……」


 う~ん、何かしら、良くはわからないけれど?


 何かこんな感じの台詞を俺に、泣き叫びながら告げてきた。


 それもさ、俺の足を自身の両手と、たゆんたゆんのオッパイを使用して──掴み挟みをおこない、飛び立つのを阻止してくるのだよ。


 俺もさ、ここで本来ならば無視をして、強引に振り切って飛び立っち、逃げれば良かったのだけれど……。


 と、後で考えれば、そうしておいた方が良かったと、多々後悔をしたよ。


 本当にバカだったとね……。


 でもあの時の俺は、まあ、この女というか、前世の妻? だと述べている綺麗なお姉さんは好きですか? の涙にね。心を打たれたというか?


 彼女、大量に涙を流し。自身の御自慢の顔をクチャクチャにしながら泣いている姿を俺は見て、心を打たれたと言うか?


 可愛そうだと思って、ついつい慈悲の心を出したのが、そもそも失敗だったと思うのだよ。


 う~ん、でもね?


 実際俺自身の目の前で、容姿端麗な女性がね。自分の顔をクシャクシャにしながら俺に守り助けて欲しいと嘆願してきたら。


 男なら誰でも話しぐらいは聞くと思うぞ?


 それも意味深な言葉を漏らしながら泣いているのだよ。


『もう二度としない?』とか、『自分自身が置かれている立場が嫌……』だとか?


『今度こそ寄り添い尽くしますから、守ってください……』とね。



 まあ、とにかく、可笑しな事を俺に告げる女性だよ。


 頭の方は大丈夫か? この女性ひとと、俺自身思うのだけれど?


 ただ……。泣きながら俺を見詰める彼女の紅玉の瞳が……。


 本当に真剣なのだよ。


 だから俺自身も彼女の紅玉の瞳に吸い込まれ魅入られてしまった気がする?


 あああ、後で俺自身、彼女に情けをかけた事を大変に後悔をするのに……。


 でもこの時の俺は、未だ彼女の恐ろしさを良くはわからないから?


「う~ん、仕方がないか? 取り敢えず、綺麗なお姉さんは好? と、話しだけはしてみるか?」


 と、独り言を漏らしながら見下ろし──。


 そのまま落下──。


 でッ、時間が経てば、俺は後で後悔をするのに本当にバカな男だった。




 ◇◇◇◇◇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る