ペンギンの憧憬〜鏡合わせの否定〜

yAchi

序章

肯定と否定。

相反するその色は互いの共存を認めない。

そして私たちは己を評価する時、ほぼ確実に否定を選ぶ。

これは最早循環なのか。

そしてここに1羽、その循環に囚われたペンギンがいた。

今回はそのペンギンの話をしよう。


自身もない、度胸もない。

無論誰かを先導することなんて到底出来ない。

得意な事はフレンズそれぞれというが私の得意なこととはなんだ?

私がしたいことはなんだ?

この姿になってから寒さにも大分弱くなった気がする。

心も同じだ。

酷く脆くなった気がする。

ヒトの感情情報量があまりにも多すぎて世界がグチャグチャに色を置いたパレットの様に色彩の暴力をしてくる。

こんな毎日があとどれだけ続くのだろう。

そう考えると怖くて目の前が真っ白になる。


「…」


冷たい夜の空気を深く吸ったときだった。


「ねぇ、あなた」


振り向くとツインテールの同族が立っていた。


「あなた、リーダーやりなさい!」


これが彼女とのーー1羽のお姫様との出会いだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る