第2話
第2話 交渉人の仕事
「…ではカタナギ様、最後になりますが神社裏手の月時山の管理を今後ともよろしくお願いいたします」
「おうおうわかっとる、たまにでいいけえ、町の甘味を頼むぞ」
「ええ、お任せください。それでは今日はこの辺で…」
「おう、ではな!」
そう言って1つ目の気のいい巨人は煙のように消えた。
そして私の親友、神城霧子は光とともにいつもの服装にもどり尋ねた。
「ふぅ…どうだった?」
私はできる限りの笑顔で、且つ今出来る精一杯の力を喉に込めて叫んだ。
「どうだったじゃないよおおおおお!」
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「えーと、要約すると、霧子は今年いろんな別世界の住人とこの人間その他の動物が住む…えと」
「第3次界」
「そうその第3次界との交渉役を任されたってこと?」
「うん、だいたいあってるわ。神社や教会、外国で言えばシャーマンとかのいわゆるこの世ならざるものと関連のある場所の人間から交渉人教会ってところが、1年間、その地域を任せる人物を占いで選ぶ今年は日本支部を私が任されることになったの」
「うん、わからないけどわかったわ…。それで、あの、バイトってのは…」
「あぁ、ごめん。毎年交渉人は10人まで交渉の仕事を手伝ってもらうバイトさんを選んでいいの、それに…なってもらえないかな…って」
「可愛い顔したってダメだよ!怖いよ!1つ目の巨人なんて!心臓止まるかと思った!」
「良い方よ?カタナギ様は」
「そうかもしれないけどお…、よりによってなんで私なのよ…」
「お金欲しいんでしょ」
「そうだけど…」
「っていうのはまあ建前、まあ、正直に言えば奈美がすごく適正だから」
「なにをもって!」
「神様の選定」
「か、神様」
「ちょっと付いてきてもらえる?」
そう言って霧子は神社の裏手に歩き出した。なにもない地面に手をやると地面がずれて扉が現れた。慣れた手つきで扉を開け、階段を降りていく。私は恐る恐るついていった。
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降りた先は広間のようになっていていくつかの机と椅子があり、何人かの大人がそこにいた。
部屋の左奥の最も大きな椅子に座っている男性が声をかけてきた。
「ああ、神城さん、その子が例の…」
「はい、候補者ですが…」
「まあ、ゆっくりしていってくれよ」
「はあ、どうも…」
自動ドアを通り奥の長い廊下へと進んでいく。
「あの人は?」
「交渉人協会日本支部長黒田さん」
「え、えらいひとなんだ!」
「そうよ。…っていっているうちについたわ」
1つのドアの前で立ち止まって霧子は言った。
「イレズマ様、霧子です、よろしいですか?」
中から女性の声で
「はいはいいらっしゃ〜い」
と返事があった。
「失礼します」
霧子に続いて部屋に入るとそこにいたのは一目で人間や動物ではないとわかる、不思議な神々しさと、冷たさをもった存在だった。
「あら!貴方が奈美ちゃんね、私の名前はイレズマ。『選択』を司る神の一柱です。よろしくね?」
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