閑話:スキルと魔法 トシゾウの力
スキル、魔法について。
読まなくとも本編に影響はありません。
作中で語れていない部分、超越ミミックの世界観を補う一助として頂ければ嬉しいです。
☆
スキルは謎の多い存在である。
人間の知識では、スキルごとに“決まった名前は存在しない”とされている。
人間は自分のレベルを把握することはできるが、スキルの詳細を見ることはできないためだ。
ただなんとなく自分の中に“ある”ことがわかるのみである。
複数の人間や魔物を同一の種族とレベルで並べた時、特定分野において飛びぬけた能力を示す者がいる。人間は、その者の持つ能力のことを便宜上スキルと呼んでいる。
例えば、人が剣を振り竜がブレスを吐けるのは当たり前のことであり、これだけではスキルとは呼べない。
だが先天的に、あるいは後天的に、レベル差を覆すほどの技を身に着ける者がいる。
スキル持ちの素人剣技が熟練の兵士を圧倒し、同じ竜が放ったブレスでも桁違いの威力となる。
その場合、それはスキルを持っているということだ。
では才能のある者はみなスキル持ちと言えるのではないかと思うが、それは誤りだ。
スキルは、スキルを持たない者が才能や努力で埋めることができないほど圧倒的なものであり、スキルを持たない同レベルの者が努力によって超えることができないものである。
スキルという才能を持たない者は、それ以外の才能を全てかき集めてもその分野ではかなわない。
後天的にスキルを得たものは、多くが努力の果てにスキルを習得している。
そのため先天的にスキルを持っているだけの者よりも努力した分だけ強い。
努力が無駄なわけではない。
もちろん、“スキルが発現すれば”という条件が付くわけだが。
通常の魔物はスキルを持っていない。
例外的に、同族で争いを繰り返したり冒険者を返り討ちにし成長した魔物、知恵ある魔物はスキルを備えている場合がある。
☆
トシゾウの持つスキルについて
トシゾウは三つのスキルを持つ。
【擬態ノ神】
・対象に限りなく近い状態へ擬態できる。
人族に擬態した場合、人族特有の火魔法を扱えるし、剣と盾を振り回すこともできる。その反面、動けば疲れ腹が減るし、宝箱の身体に比べて脆弱な肉の器となる。
擬態対象に精神が引っ張られるため、長時間擬態を続けると思わぬ行動をとってしまう場合もある。
外見やスキルは種族の枠内での調整が可能である。既存のスキルの発現とレベルは擬態対象と自らの格の差内で任意に調整ができる。
基本的に、オーバード・ボックスよりも格下の存在へ擬態するほど無茶が利く。
擬態状態で死んだ場合、その格の差分の力を残して復活できる。
・直接面識のある個人へ擬態できる。
個人の持つ情報などは、トシゾウが対象と関わった深さに比例して反映されるため、実際のところは戦ったことがあればそれと同じ動きができたり、話したことがあれば話し方をマネできたりと、通常の擬態に毛が生えた程度の能力でしかない。
唯一の存在、例えば神が存在した場合、それにも擬態が可能である。その汎用性こそが個人を特定した擬態の最大のメリットなのかもしれない。もちろん、仮に神が全能であった場合はトシゾウの格を上回ることが予想されるため、完全な擬態はできないだろう。
【無限工房ノ主】
・容量無限のアイテムボックス。出し入れ自由。
容量の一部を忠誠のある者に貸し出すことも可能。
収納したアイテムごとに時間の流れを任意に変更できる。通常~停止まで。
アイテムを取り出す時は、ある程度位置や速度を変更できる。弓を放つように射出することもできる。
生物は収納不可。生物の定義は不明。
・取り込んだ品の修復、練磨、合成能力
素材を組み合わせた装備の作成なども可能だが、並の鍛冶師程度の腕。
あらゆる素材を鋳溶かし組み合わせたりすることが可能だが、鍛造など、細かい手を加えることに難がある。
トシゾウが求める、本当の価値ある宝を作り出すことはできない。
【蒐集ノ神】
・アイテムの鑑定能力
生物、無生物に関わらず、トシゾウが認識した存在についてあらゆる情報を収集可能。格の高い存在ほど鑑定に力と時間を要する。どこまで情報を引き出すかはトシゾウのやる気次第。
その気になればシオンが昨日装備した絹製のパンツ、一部がほつれている。などという結果を表示させることも可能。その情報がどこから来ているかは不明だが、トシゾウは便利なのでそれで良いと思っている。
トシゾウが人物を鑑定する際は、一定の価値以下の装備は表示しないというような設定をしていることも。王族連中などは鑑定で表示された以外にも多種類の装備を身に着けているが、設定した数値を超える装備が数個しかなかったということになる。
なお、鑑定に表示される武器の名前をどのように表示するかは任意に設定できる。
現在は武器の場合、主として使用されている素材と武器の分類を表示するようにしている。強力な一点装備や、由来のある品には固有名詞を適用するようにしている。
鑑定に表示されるスキルについても同様で、ノ鬼、ノ主、ノ神などの分類は、【蒐集ノ神】がそのスキルの発展度合いをトシゾウの分類方針に従ってはじき出したものである。
鑑定能力の応用的な使い方として、アイテムの持つ深部情報を探る、名探偵のような使い方も可能。
仮に冒険者ギルドの防壁に使われている素材が盗まれた場合、その素材の特定及び所有者情報から犯人の特定が可能である。
・アイテムの検索能力
生物、無生物に関わらず、使用者の周囲に存在する価値ある存在を調べることができる。
種類はわかるが、鑑定は不可能。人がいることが分かっても、それが何者かまではわからない。検索範囲は使用者のやる気と処理能力次第。
検索能力の応用的な使い方として、価値ある人間、つまり人間の強さを計るレーダーやスカウターのような使い方が可能。
☆
ノ神、ノ主まで発展したスキルを所持する者はほとんど存在せず、そのスキルを一つでも持つ者は、それ以外の能力についても破格の存在である可能性が高い。
通常の枠に収まった魔物にスキルというものは存在しない。もちろん、人間からすればスキルと言えるような特殊能力、たとえばブレスや邪眼の能力などを持つ魔物は多い。
しかしトシゾウの鑑定でスキルを持つと表示されたのなら、それはその魔物が本来持つ力を超えた強い能力、スキルと呼ぶべき力を所持しているということである。
スキルに至っていなくとも、トシゾウがその気になれば特殊能力をはじき出して鑑定することも可能である。逆に言えば、その気にもならない、スキルとして表示されない能力はトシゾウにとって脅威となり得ないということでもある。
魔法使いは、トシゾウ的に分類するならば、火、風、土、水、いずれかのスキルを有した人間という分類になる。人族において魔法使いの数は、その他のスキル持ちすべてを合わせた数よりも多い。ある意味では魔法使いは、種族的に最も備わりやすいスキルを身に着けただけとも言える。
スキルは、努力や経験によって後天的にも取得可能である。。
人族は火魔法のスキルにもともと才能を持ち、さらに蓄積されたノウハウで後天的に火魔法を発現するというプロセスを踏むことで魔法使いを増やしていることになる。
ほとんどの人間は、魔法スキルを持たずとも、魔石を介して魔法を発動させることができる。もちろん個人差はあり、魔法スキルを発現している者の方が魔石の力を引き出すことができる。その個人差のことを人間は魔力の有無と言っているが、言い換えればこれは魔法スキルに対する才能の有無と言い換えることもできる。
魔法スキルなしに魔石の力を多く引き出せるのなら、修練しだいで魔法スキルを習得できる可能性が高いということだ。人間は経験からそれを理解している。
レベルが高いほど魔力量は多くなる。つまり魔法のスキルを習得しやすくなるということでもある。魔力同様に、レベルが上昇すればスキルが習得しやすくなるのは間違いない。
スキルを習得した場合、そのスキルに関連する能力は瞬時に高みへ至る。スキルにもよるが、平均してレベルが5上の相手でも対等に戦えると言われている。
もちろん、レベル1と6よりもレベル11と16の方が接戦になることは確実だ。レベルによる計算は、あくまでも目安に過ぎない。
トシゾウが知る限り、スキルの最大数は3である。
上記以外にも、スキルと瘴気の関係や、スキルが照会している情報源についての話など、迷宮主に訪ねれば得られそうな情報があるのだが、トシゾウにとってはどうでも良いことであったりする。
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