異世界TCG ~マナカード~

破滅希

第1話 異世界

 小さな村の街中を銀髪の少年がスキップする様にワクワクが、喜びが抑えられないとばかりに道を歩く。


「ついに6歳の誕生日だ!」

 俺、アマロは今日で6歳の誕生日を迎える。何故、こんなにも喜んでいるのか、それはこの世界では6歳になる事で初めてカードを貰えるからだ。


 この世界では、異世界物でよくあるRPGの様なスキル等取得し、使用するといった事ではあるのだが、決定的に違うのがそのスキル等が不思議な事にカード化されるのだ。

 この世界の人々は何故そうなるのか等は一切知らず、それが当たり前、神様からの贈り物とされている。

 何故、神様からの贈り物とされているのかと言われていると、6歳になると神殿へ赴き、そこで儀式をするとそのスキルを得る為の神の加護とやらが備わるのだそうだ。その時に祝福として願った効果を持つカードが贈られるそうなのだ。何故、6歳で行われるのか。それは子供の時の方が純粋な願いを持っているからだそうだ。

 確かに大人になれば欲にまみれたりと色々と黒いからね。


 そして、今日はその6歳の誕生日、今現在、その神殿に向かっている途中だ。神殿は小さな村など規模に関係なく建てられる。当然、街、村の規模によって神殿の規模も変わってくるのだが、俺の村は小さい為、神殿とは名ばかりの様な小さな家に神殿ですよという気持ち程度の装飾がされているだけだった。


「こらアマロ!はしゃぎ過ぎよ」

 横にいた母親、フェンリがペシとお凸を叩く。まだ、26歳でとても若い。


「そうだぞ。今日は大事な日だ。お前の一生が掛かっているんだからな」

 俺の反対側にいる父、ヴァーダが頭をぐりぐりとしながそう言う。

 

「父さんと母さんはどんなカードを授かったの?」

「ん?そうだな・・・。確か、〔索敵〕のスキルだったな。その名の通り、周辺に何か探す事が出来るんだ。このスキルのお蔭で獲物を大量に獲れるようになったんだぞ」

 そう、父親は猟師で我が家の生計を立ててくれている。


「お母さんはねぇ。祈願のスキルを授かったわ」

 〔祈願〕のスキル、それは神から選ばれた者であるという証明の1つだ。儀式の為に村に最低1人は必要とされている。そんな最低1人必要とされるこの村のその1人がフェンリだ。その〔祈願〕を持つ者は村でも村長と同等の地位を得ることが出来る程の代物だ。


 恩恵の儀式を受ける為には、この〔祈願〕のスキルが必須となる。このスキルを用いる事により、初めて神からスキル取得できる神の加護を授かる事が出来る様だ。


 原理は不明だ。

 しかし、加護を授かっていなくとも神の加護と同様のスキルのカード化が出来る者もいるそうだが、詳細は不明とされている。

 祈願する事により神から授かれるのだが、その以外にも神がいるのだと推測されてはいるが、噂、憶測の域を出ない。



「さぁ、始めるわよ」

 母、フェンリが言う。

 知らぬ間に神殿に着いていた様だ。


 オラ、ワクワクすっぞ!


「さぁ、アマロ。神に祈るんだ。お前の思い描く未来を願うと良い。そうすれば、大きくなってずっと役に立つスキルを授かれるはずだ」


 父、ヴァーダの言う通りに未来の自分を思い描く。






 俺はこの世界では滅多に生まれない黒髪を持って生まれた。この世界では黒髪は忌み子として扱われ忌み嫌われる。最悪、親にさえ捨てられても可笑しくない程の存在だ。

 しかし、俺のこの世界親はそんな事を気にせずに俺を温かく育ててくれている。


 そもそも何故、俺が黒髪に生まれたのか。それは見当がついている。それは・・・転生者だからだ。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 多岐沢 輝希タキザワ テルキこれが地球での名前だ。


 俺は、33歳にもなっていまだにTCG(トレーディングカードゲーム)やっているオタクだ。学生時代からずっとやっているが、決して強いというわけではない。TCGが好きなのだ。

 何が好きなのかと言われれば少し困るが、自分で考えたコンボの成功、オリジナルデッキを作る楽しさ、戦略等だろうか。

 兎に角、TCGという物が好きなのだ。資金に余裕があれば様々なTCGに手を出している。既に運営が終了しているTCGを合わせると10種類以上は超えていると思う。


 給料の殆どはTCGやTCG関連のサプライに消えていく。しかし、最近怪我をして仕事がまともに出来なくなったのだ。仕事を休めばその分給料も減る。TCGに使える金もどんどんと減っていく。使わなくなったカードを売っては新しいカードを買うといった日々が続く。

 仕事を休めばそれだけ会社からの信頼も失っていく。俺に対する当たりも強くなっていき、最近では上司のミスを何故か俺が責任を取り、しかも何故かその上司からも怒鳴られるという理不尽な目に合っていた。


 気分は今にも鬱になりそうな程だ。TCG以外にもオタクなだけにアニメなども良く見る。そんな中最近では、余りにも理不尽な事が続いている為、流行りの異世界物、トラックに轢かれて転生したいとすら思うようになっていた。


(はぁ、異世界に行って俺TUEEEEしたいなぁ)


 某小説サイトで異世界物を見て信号を待つ。


 ドン。


 突如、後ろからぶつかられ、よろけて歩道からはみ出てしまう。


(いってぇな。何しやがる)


 そう思い、振り向くと学生達が騒いでぶつかった様だ。相手を見る限り、申し訳ないというような感じの顔をしていた為、まぁいっかっと道路に戻ろうとすると。


「危ない!」

 叫び声が聞こえた。


 その瞬間、横から何かが迫ってくる圧迫感があり、振り向くと目の前にトラックが迫っていた。


(あ、これ死んだわ。キタコレ。異世界へ行くぜ!)


 スローモーションに感じるその刹那にヒャッハーという感じで喜んでいた。



 キキーッ!ドン!


 急ブレーキの音と共にぶつかる鈍い音。



(あー。でも親には悪いな・・・先に死んでごめん)

 それが、地球での最後の思考、思いだった。






「気が付いたか」


 何もない真っ白な空間で意識を取り戻すとそこに見知らぬ髭を伸ばし、白い装束に身を包んだ老人がいた。


「・・・貴方は、神か!?」

「う、うむ。よく分かったの」


 第一声の言葉に驚きつつも神と認める老人。


(まじかよ。本当に異世界に行けるのか!?)


「俺って、もしかして手違いで死んだってオチか?」

 定番ネタを聞いてみる。


「?いや、普通にお主の不注意で死んだだけだが?」

「まじで!?」

「うむ。ぶつかって道路に出た時に直ぐに歩道に戻れば、今も普通に今まで通りの生活を送っていたじゃろうな」

 呆れたように言う神。


「なら、何で俺は神である貴方とこうして喋っているんだ?ですか?」


 自分で言った神という事に気付き、敬語を使い始める。


「よいよい。普通に話して構わん」

「じゃぁ、有難く。丁寧な言葉遣い苦手なんで助かります」


 構わないと言う言葉にそのまま受け取る。若干、神に呆れられた雰囲気があったが、気にしない。


「それで続きだが、地球から違う世界に魂を送るのが役目なんじゃが、死んだ人間の魂の行きたい世界に、望んだ世界に行けるように本来はなっておる。だが、段々ととある世界に魂が往かなくなってな、魂が往かないとその世界の出産率が下がっていくのじゃよ。無論、地球から魂が往かなくとも新たな生命は生まれるのじゃが、その為の魂のエネルギーが大きくての。新たな生命が生まれるのが少ないのじゃ」


「つまり、死んだ人間の魂は、色々な世界に行き、そこで生まれ変わるという事で、しかし子供を産むためには魂のエネルギーとやらが必要でその魂のエネルギーとして送られるという事?」


「まぁ、簡単に言うとそうなる。じゃが、一つ訂正じゃな。正確には生まれ変わるというわけではない」


「ああ、なるほどね。魂のエネルギーとして送られるから死んだ人間の意識やら記憶やらは消え去るという事だな?そこで、察するに、魂が各々が行きたい世界に行くからその魂のエネルギーが少ない世界に俺に行って欲しいという事だろ?」


「う、うむ。理解が早くて助かる。その世界に少しでも興味がありそうな者にこうして説得をしておるのじゃ」


 まだ、説得もくそもされていないが・・・。



「まぁ、事情は分かったけど、俺が興味があるのって基本的にTCGかアニメとかだけど?」


 そんな世界があるのか?疑問に思いつつ訪ねた。


「うむ。その世界はカードを使う世界じゃ」

「まじで!?どんな!?」

「お主が分かりやすく言うとじゃな・・・そうじゃの。・・・スキルや物がカードになるという世界じゃな」

 どう言えばよいのかと迷いながらの神の解答。


「・・・分からん。TCGじゃないんじゃ・・・」

「どちらかと言うとお主の世界のスマートフォンゲームによくあるリアルタイムカードゲームに近いかもしれぬな」


「ほう・・・」


 それはそれで、悪くない・・・のか?暇な時に無課金でその手のゲームにも手を出したことはある。


「まぁ、後は実際に行ってみて体験してみろとしかワシには言えぬな。ただ、言えるのはその世界はTCGが好きな魂が良く向かう世界じゃ」


「はて?それならわざわざ俺にこうして合わなくても俺の魂ならそこに行きそうだが?」


 TCGに半生以上関わって生きてきているのだ。TCG好きが行く世界なら間違いなく行くと思うのだが。


「うむ。それはお主が行くかどうか微妙じゃったからじゃな。魂をその世界に送る事は出来るのじゃが、その魂の意に添わなければ引き返して違う世界に行きよるのじゃよ。困ったのものじゃ」


 やれやれと肩を竦めながら言う神。


(微妙って・・・)



「その世界に行くのは大体何らかの事故で亡くなった若い魂しかないのじゃ。TCG好きで事故で死ぬと言った者など数が少なすぎるじゃろ?それに大体の人間は大人になるとTCGをしなくなるのが普通じゃろ?お主は丁度その止めるかどうかの年齢じゃ。それに現に死ぬ前は余りTCGをしておらんかったではないか」


「正確にはする時間と体力がなかったというのが正しいんだけど・・・TCGをやめるという選択肢はなかったが?」


「ふぇっ!?」


 何驚いた顔しているのだ神よ。


「・・・ふむ。ならワシは無駄手間をしてしまったかの・・・」


 無駄手間って・・・。


「まぁ、でもその話を聞いたからには・・・」

「行ってくれるな!?」

「いや?むしろ、行かないよ」


 喜々として言う神。

 

「別にTCGだけでなく、俺はアニメや漫画とか見たいにハーレムの築ける世界にもなりたいわけだし、むしろそっちの方が彼女いない歴イコール年齢の俺としては良いかもしれないよね~」


「ぐぬぬ・・・いや、しかし魂は自身の願い、思いが強い世界に行く。ならばこのまま送ってしまっても問題ないという事じゃ」


「・・・本当に?なら何故わざわざこうして姿を現した?行く可能性が少なからずないからだろ?わざわざこうして説得しに来ているという事は確実にその世界に行って欲しいからだ。だろ?」


「ぐぬぬぬ」


 図星なのかくやしそうな顔をする神。


「それに、その話を聞いた俺は今、頭の中でハーレムを全力で思い描いている。つまり、俺の魂はハーレムな世界に行く可能性がどんどん上がっている。違うか?」


 何だか神の弱みを握った気分で強気になっちゃう。


「・・・まぁ、俺もTCGは好きだからその世界に行ってやらなくもない」

「本当か!?」


 ぱぁと明るくなる神。老人の。


「ああ、ただし!条件がある」

「やはりか・・・言ってみなさい」


(勝った!)


 確かにハーレムな世界も憧れるが、憧れた所で今の俺に関係が全くないから何処の世界に行こうと全くどうでも良い事である。だからこそ、条件を付ける事に意味がある。


「まず、俺の記憶とか知識はそのままにして貰いたい。本当の意味で生まれ変わりたい」

「うむ。そのくらいは良いじゃろう」


「そして、俺をチートな能力・強さを持たせて欲しい」


 記憶を持ってチート能力持ち、異世界転生物定番だ。これさえあれば、ハーレムなんて後から付いて来る。


「・・・無理じゃな」

「な・・・んだと!?」


 がっかりだよ!非常にがっかりだ。あまりの事にショックを隠せない。隠す気もない。


「言ったじゃろ。カードを使う世界じゃと。その世界はTCGの要素で戦闘もするファンタジーな世界じゃ。デッキも勿論存在するし、魔物も存在する」


「魔物!?え?何?魔物とTCGで戦うっていうこと!?」


 狼や触手を持った異形な者達とTCGで勝負。何だかシュールだ。


「いや、魔物とは普通にリアルファイトじゃ」

「えー。TCGな世界が分からない・・・」


「リアルファイトじゃが、カードを使う」

「え?」


 カードスラッシュ(物理)?


「これも言ったじゃろ。スキルや物がカードになると。スキルを使うにもカードが必要なのじゃ、魔物と言った相手にはスマートフォンゲームの様なリアルタイムTCG、人間等と決闘などといった時には、ターン制のTCGで色々と物事が決まるのが多い世界なのじゃよ」


「それは変わった世界だな」


「だからの。チートな能力を渡すにしてもカードになる。そのカードにチート能力を付与するとどうなると思う?」


「俺TUEEE」


 即答した。


「確かに出来るのじゃが、そうすると世界のバランスが崩れかねんのじゃ。お主の世界のTCGで言うなれば、そのカードをガン積みしていれば勝てるという様な状態じゃの。即禁止カードじゃ。その様なゲームをしても面白くはなかろう?それでもどうしてもチートを望むというのであれば、残念じゃがこの話はなかったという事になるの。お主のその魂に賭ける事をワシは選ぶの」


(確かに、そんなカードゲームは面白くはない。だが、その世界はゲームではなく現実だろ?持っていて損はないが、要望すれば俺はただの魂となり、記憶もなくなり本当に死ぬことになる。どうしたものか・・・)



「あ!じゃぁ、空間魔法、アイテムボックスとかの能力は?」

「その世界の者は6歳になれば全員使えるの」

「なぬ!?」

「カードじゃぞ?奪われたらどうする。デッキ何て奪われたらその者の人生が奪われるのと同義じゃぞ。そうならない為にカードを収める事が出来る空間が必要になって来るからの。まぁ、普通の者ではカードに触れる事は出来ぬから奪われる心配がないがの。ついでに、了承すれば交換や、売却といった事が可能じゃ」



「普通の者には無理って、奪える者がいるって事だろ?それは何で?」

「基本的にその世界の神が管理しておるのじゃが、その神が管理していない者が稀にやってくるのじゃ。そう言った者は神の管理から外れ、他人のカードを了承鳴く奪う事が出来てしまうのじゃ」


「他の神がその世界を荒らしに来るって感じか?」


「まぁ、残念ながらそんな感じじゃの」



「貴方は、神の中ではどの程度の位置にいるので?」

「ワシ?ワシはその神の中で一番上じゃ」


 ここぞとばかりに鼻息荒くドヤ顔してくるトップの神。


「何じゃ、その嘘だとい言わんばかりの顔は。ワシがいなければ魂の循環を出来る神がいないのじゃ。ワシに喧嘩を売るという事はその世界に魂を送る事を止める事が出来る。つまり、魂のエネルギーが無くなっていき、その世界は滅ぶという事じゃ。更に、神はそれぞれの世界と命が繋がっておる。つまり、ワシを敵に回すと自身の死にも繋がるという事じゃ」


 説明乙。


「・・・なら、決まった。貴方の加護をくれ」

「・・・と言うと?」

「他の神の手の者が送られてくるんだろ?そういった輩から守る為の力が欲しい」


 世界のルールから外れた行いを出来るようなチートな奴等せこすぎるわ。そのチートを封じる。そうすれば、お互いのTCGの実力に持っていけるはず。


「良かろう。ならばお主にはワシの加護を与える。他の世界の神の者からカードを守られるだろう」


「ありがとう。それじゃぁ、そのTCGの世界とやらに送ってくれるか」

「うむ。後は自己責任で次の生を楽しむが良い」


 自己責任という言葉で何とも言えない気持ちになったが、光に包まれると共に意識が途絶える。




 そうして、この世界にフィアスの息子として生を受けた。赤ん坊の頃は色々と大変だった。主に、おっぱいの時間とか・・・。母親に欲情してはならないと赤ん坊なのに無駄な戦いが脳内で繰り広げられた。ついでに、心のアルバムにも保存されているのは内緒だ。


 そして、この世界の事を勉強しつつ6歳を迎えたのだった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「〔祈願〕」


 神に祈る俺の頭にそっと手を翳し、フェンリがスキルを発動する。


 ・・・俺の未来。


(ハーレムウハウハルートハーレムおっぱい!ハーレムおっぱい!取り合えず、彼女いない歴に収支を打ちたい。俺TUEEEしたい!)


 色々と邪な事を考えまくっていた。ついでに、この世界は一夫多妻OKだ!


 淡く体が光ると体から1枚のカードが現れた。


「良かった。無事に恩恵を授かれたわね」


 忌み子の為、恩恵を受けれるか内心心配だったのだろう。今更だが、銀髪はカツラだ。


「アマロ。それが貴方の恩恵スキルよ」


 光るカードを手に取る。


『パートナー:エイフィ』


 スキル名が記されていた。



「「パートナー?」」


 親二人とも首を傾げる。


「「まさか!?」」


 そして直ぐに閃いたように同時に声を上げる。


「「ユニークスキル!?」」


 ユニークスキルとは、固有スキルだ。そう異世界物定番の1つである個人特有のスキルだ。


 この世界でもそれは存在する。取得方法は、己を磨き、自身が見つけた技などでも取得するといった事でも可能だが、恩恵時にユニークスキルを得るという事は生まれ持っての才能という事にもなる。


 才能の一種なのだが・・・。


「しかし、パートナーか・・・」


 そうヴァーダの何とも言えない呟きのように、問題はパートナーなのである。


 祈願による恩恵スキルを得る者は自身の願望も反映される。つまり。


「ごめんね、アマロ。貴方にこんなにも寂しい思いをさせていたなんて・・・」


 こういう事になる。


 実際、1人で過ごす事が多い。親は猟師と〔祈願〕持つことから神殿へと働く、共働きの両親。村にも同じ年の子供もいるが、俺はそれよりもこの世界の事を知る必要があり、俺TUEEEを少しでもする為に、幼い頃からスキルを得る為の修行や本を見て過ごしていた為、同い年の友達はいない。精々、隣に住んでいる幼馴染に属する少女1人だけだ。

 内心で、美少女幼馴染GETだぜ!と喜んでいたのだが、引き籠ってばかりだったせいか最近はあまりに家にも来なくなっていた。


 美少女と俺TUEEEのどっちを取るかという選択肢が発生し、俺TUEEEを選択した結果である。まだ小さいから後からでもきっと挽回できると踏んでの選択だ。


 そうして、1人で過ごしている事を俺の親は知っているが為に哀れんだのだ。つらたん。



「いや、俺は1人でも全然気にしてないよ」


 本当に気にしていない為そう言うと「そう。ごめんね」とそれでも謝られた。場の空気が微妙になったので話を切り替えよう。


「で、でもこのパートナーってスキル、お母さんでも知らないんだよね?」

「ええ」


 そう、〔祈願〕を持つフェンリなら様々なスキルを知っている。にも拘わらず初めて見ると言う。


「だったらかなり珍しいスキルだよね!」

「そうね」

「一体どんなスキル何だ?」

「えっと・・・『パートナーエイフィを召喚する』だって」


 スキルにはそれぞれ説明が書かれている。しかし、俺のスキルに掛かれた説明はそれだけだ。


(あ、何かステータスがあ・・・!?)


 ステータスがあるのに気が付いたと同時にスキルカードが眩しく光る。


「「「!?」」」


 光が収まると共に目の前に長い黒髪のポニーテールで腰に漆黒の剣を滞納し、両手に漆黒の篭手、漆黒の鎧、その下に漆黒の服、漆黒のズボンといった黒色中心に身を包み、年齢は18歳ぐらいだろうか、若い女性が現れた。


「何者だ!?」

 ヴァーダが俺とフェンリを守る様に前に出る。


「・・・私は、エイフィ。アマロのパートナー」


 漆黒の瞳を俺に向けそう彼女は答えた。


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