7にち じゅぎょう(カキクケコ)

 がつ7にち  ようび てんき(くもり) おんど


今日はじゅぎょうで「カキクケコ」を教えた。

少し曇ってはいるが天気が悪いまではいかないので今日はお待ちかねのじゅぎょう開催だ。青いラッキーに園内広域放送でじゅぎょうに参加するフレンズは集まれーと放送してもらった。じゅぎょうに参加するフレンズの大半は覚えたい文字を習得するまでは大体セントラルのどこか、例えば『ホテル』や俺の住んでいるショッピング街なんかで一時的な生活をしているのだが、別のエリアから来る子も中にはいる。なのでじゅぎょうの開催は夜明け頃に園内放送で知らせて、太陽が一番高い頃に始める事にしている。

放送をして図書館に行くと、もうアライグマとリョコウバトが来ていた。昨日大雨だったのでじゅぎょうがあるなら今日ではないかと待ち構えていたそうだ。この二人はセントラルにいるので流石に行動が早い。自主勉強にもよく訪れるし近くに住んでいるんだろう。


あ、思い出した。昨日は幸いにもセルリアンは出なかったようだ。図書館に行く途中に海で会ったステラーカイギュウに聞いた情報によると、沿岸や沖は高波でとてもいられなかったので仲間とセントラルの中心部に避難していたらしいが、ドワーフサイレンとメキシコサラマンダーがはしゃぎ回ったりと水棲の子たちが結構うろうろしていたらしい。セルリアンが出たならけいさつか図書館に報告が来るので来てないなら平穏だったのだろう。


色々作業をしながらじゅぎょうを始める時間を待つとちらほらフレンズがやってきた。各々復習をしたり他の子と一緒に文字を書いて遊んでいたようだ。かわいい。

そんな中、はじめてじゅぎょうに来たフレンズがいたので声をかけてみた。


アマゾンツリーボアという名前らしい。アンインエリアからやってきたヘビ系の子で、将来はけいさつになろうと思っているらしく文字を覚えるためにじゅぎょうに来たとのことだ。アンインから来たヘビ系の子と聞いてピンときたがやっぱりキングコブラの弟子の子だった。キングコブラにはいつも力を貸してもらってるんだと言うとししょうが副園長にですか、とびっくりしていたのでそうだと返した。

他のフレンズと協力したり技を借りて自分の力に替えるフレンズは多く、俺もその一人だ。キングコブラがセルリアン退治の時に使う毒の力を時々もらって、武器に付けて攻撃している。こうすると俺の攻撃に加えてキングコブラの攻撃も加わるらしく与えるダメージが全然違う。毒の力でセルリアンが溶けて潰れてしまうこともある程だ。せめてものお返しに料理を作ってあげるのだがいつかは何かちゃんと返したいと思っている。

アマゾンツリーボアはキングコブラに特訓を付けてもらうだけではなく、過去のきろくを読むことでセルリアンとの戦い方を知ろうとしているらしい。そんな時にじゅぎょうのことを知って、就任式の後に暇をもらってセントラルに残りましたと言った。

とても嬉しかった。アマゾンツリーボアのように文字の読み書きを覚えていろいろなことを書いていろいろなことを読めば、今まで以上にさらに他のフレンズの良い所や強さをたくさん知れるはずだ。これまでもあったが最近は特にフレンズ同士で読み書きを教え合うのが流行っている。みんながお互いのことを深く知れればパークは安全になりもっと楽しくなる、俺はそう思っている。

今思うとキングコブラも俺がじゅぎょうに関係していると知って任してくれたのかも知れない。なおさらお礼をしないと。


時間になったので園長とじゅぎょうを始めた。参加したフレンズは15人と今までで一番多かった。最初は少人数で始まったのにここまで来たと思うと誇らしい。

結論から言うと今日のじゅぎょうもうまく行ったと思う。「カキクケコ」で始まるけもののパネルは文字を覚えるきっかけとしてはなかなか良いものだった。知っている子の名前が出てきて絶対に覚えて帰りたいと頑張るフレンズもいたし、最初の文字以外でわからない文字があった時は皆でお互いに教えあっていた。

アマゾンツリーボアは知らない文字に初めは緊張していたが、「キ」の絵がキングコブラだったのですぐに興味を持ってくれたようだ。よし。

あとアライグマは今もじゅぎょうを教わっている身ではあるもののもはや教える方になっているのかもしれない。文字を覚えるのももちろん頑張っているが、最近は俺や園長の教え方を観察しているように見える。園長にこの事を話すと、園長は嬉しそうに手を叩いて、そうねアライグマはしばらくしたら教える側に回してもいいかもしれないわと言った。

今こそじゅぎょうは不定期で参加した順に関わらずみんなに同じ文字を教えているが、教える方のフレンズが増えれば準備が簡単になり定期的にじゅぎょうを開催できる。あと進行具合に合わせていくつかのじゅぎょうを別に進めることができるのでアマゾンツリーボアのように途中からじゅぎょうに興味を持った子にも最初から教えることができる…。あくまで理想だが、いつか叶えたいと思う。


今日はカレーを作ってみんなで食べた。少し辛くなってしまったが、ジャパリまんと一緒に食べたら辛さも和らいだみたいでなかなかおいしかった。

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