5にち じゅぎょうの準備
がつ5にち ようび てんき(はれ) おんど
今日は次回のじゅぎょうの準備をした。
起きてすぐに次回のじゅぎょうの事が気がかりになったのですぐに図書館に向かう。園長は今日も資料の解読をしていた。今手を付けているのは何かの物語らしく、多少漢字は含まれているが解読に支障は無いとのことだ。シリーズ物らしく、パークのどこかに続きがあるかもしれないと期待していたが、この本はとある遺跡にポツンと置いてあったものを回収したから散逸してしまっているかもしれないとも言っていた。
次回のじゅぎょうは「カキクケコ」のカタカナとその応用例だ。じゅぎょうに使えるものが何か無いかと探しているとじゅぎょうに参加しているフレンズの一人リョコウバトが図書館にやってきた。絵本を読みに来たらしい。リョコウバトは俺に軽く会釈をすると絵本を探してきて読み始め、時々俺と会話をしながら分かる所だけ文字を拾って読んでいたようだ。
熱心に絵本を読んでいるので、なあリョコウバトはなんで文字が読めるようになりたいんだ?と聞くとリョコウバトは、私パークガイドをしてみたいのですよと答えた。
リョコウバトはパーク各地を旅をするのが好きな子で各エリアの魅力的な場所をいっぱい知っているらしい。俺も資料探しや各地のフレンズに話を聞くためにしょっちゅうセントラルを出るのでパークの事を知っていると思っていたが、リョコウバトの話を聞く限りパークにはまだまだ知らない魅力的な場所があるようだ。そして文字が読み書きできるようになったら自分で『がいどぶっく』を作って、まずは鳥系のフレンズ相手にパークガイドをしてみたいと教えてくれた。俺はリョコウバトのように大好きなことを伝えるために頑張れるのはとても素晴らしいことだと思う。
そんな会話をリョコウバトとしながら次のじゅぎょうで使う資料作りは完了した。「カキクケコ」で始まるけものを描いたパネルだ。リョコウバトはそれを見て、わあすごい!次のじゅぎょうが楽しみです、次はいつですか?と聞いてきた。次はまた天気が良かった日にするかなあというと、できるだけ早めにお願いしますねと言う。
俺はなんで早めがいいのか気になった。リョコウバトの熱心さならゆっくりやってもちゃんと文字を読み書きできるようになるだろう。
それを聞くとリョコウバトは少し微笑みながら、だって早くしないとぜんぶ覚える前にセルリアンに食べられてしまって後悔するかもしれませんもの、そう言った。
胸を打たれる言葉だった。リョコウバトは軽い冗談のつもりで言ったんだろうが、その通りだ。現にセルリアンに襲われて姿を消すフレンズは未だに絶えない。優しい子、頭のいい子、器用な子、セルリアンはそんなことお構いなしに皆食べてしまう。じゅぎょうに出ているフレンズで食べられてしまった子はまだいないがそのうちに誰かいなくなってしまうこともあるかもしれない。
俺にできるのはそうなっても最期に悔いが残らない素晴らしいじゅぎょうを毎回心がけること、そしてそういう子が生まれないように副園長・けいさつの一員としてパークを守ることだ。
まあリョコウバトはその後に、私のガイドを邪魔するセルリアンなんてぶっ飛ばしちゃいますけどねと続けた。リョコウバトは地元のエリアでは名が知れた腕利きでけいさつにならないかと持ちかけられたがガイドになりたかったのと『ふだつきのわる』であることを理由に断ったとのことだ。『ふだつきのわる』というのが何かはよく分からないがリョコウバトはやっぱり自分の夢を頑張って追い続ける素晴らしい子であるというのは理解できた。
今日は図書館の設備を使ってポトフを作ってみんなで食べた。火を付けてもいないのに鍋が煮えるのをいつも不思議に思うが、ラッキーの説明では俺には難しくて理解できなかった。まだまだパークには分からないことがいっぱいある。
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