第四十話

「鷺澤さんは、兄さんの前に彼氏とかいたんですか?」

 無邪気な問いは、躱すには真っ直ぐすぎた。誤解しようのない純情さは多くのものを見てきた年長者からしてみれば懐かしくも可愛くもあり、そして時には何よりも鋭く胸を貫く。

 鷺澤朱里は頬を細い指で掻きながらどうしたものかと数秒の間考えたが、結局は彼女の実直な性格も合わさって正直に話すことにした。

「うーん……あんまり大声で言いたくないけれど、二人いたわ。中高で一人ずつ。今思えば……うん、あんまり思い出したくない。実を言えば人に言えるほどまともな恋愛なんてしたことないのよ、わたし。お弁当だって作ってあげたことないし、告白したこともないし。その点、歩美ちゃんは浮いた話のひとつやふたつ、あるんじゃないの」

「わたしは今までに恋人ができたことはありません」まるで庭の柿の木について話すように、「でも、やっぱり恋愛って甘酸っぱくもほろ苦い、味わい深いものであるべきです。まだ味わったことはないので、単なる理想論なんですけど」

「アハハ、夢見る乙女ね」

「それで。その二人とはどれくらい付き合ったんですか?」

 既にぼんやりとしか思い出せない男性の顔をふたつ、何とか記憶の鉱脈から掘り起こそうとしたが無駄な努力に終わった。どうしても今の想い人の印象が強すぎて、その時、鷺澤は自身にどれだけの影響力を日計洋一という青年が持っているのかを痛感した。

 彼女にとって、異性といえば男性であるが、愛や恋という好き嫌いが絡む話になると彼で染め上げられてしまう。年相応の女としてこの手の話に興じる相手は、彼の妹である歩美であるのだから、下手なことは言えないと身構えさせたが、歩美にはそのような緊張やもつれた糸を解すような可愛げがあった。女性というものにまるで興味がないように装っていた洋一が溺愛しているというが、その理由の一端に触れた気がした。

「どっちも長続きしなかった。今にして思えば、相手に求めてるものが自分でもわかっていなかったんでしょうね。デートの場所ひとつ取っても判断材料くらいにしか感じてなかったかもしれない」

「何を求めているかもわからないのに、求めてしまっていた?」

「好きでいるだけなら誰にでもできることでしょう。それは恋愛以前の問題で、人としての情緒を問われているだけだと思う」

「じゃあ、兄さんとはどうして付き合ってるんですか? 馴れ初め! 馴れ初め教えてください!」

「ヘルフィヨトルと同じで、歩美ちゃんは降伏を受け入れてくれそうにないわね」

 まだ婚約はしていないのだが、と、鷺澤は困り果てた笑顔を浮かべる。

 妹ができたみたい、と淡い幸福を感じながら手に持っている烏龍茶を傾けた。既に二本目だ。今日も熱帯夜である。冷房設備の完備されていない格納庫なだけあり、薄らと汗ばむ。紫雲隠匿用の暗幕内は風が入らないのでなお暑いというのに、この少女は髪をポニーテールにまとめるや、袖を捲って元気いっぱいだ。

(若いっていいなぁ)

 図らずも、東雲南津子と同じ感想を抱いている彼女だった。

 遠巻きに、情報保全隊のプレハブ小屋が見える。柏木らへは、パーティフードの差し入れをすることで了承を得た。

「いかなる贈収賄にも応じるつもりはありません」

 きっぱりと言い切った柏木二等陸士ではあったが、一部の隙も無い紺色の制服姿のまま、片手で皿の上に山盛りになったピザとフレンチポテトを受け取っているのだから説得力にかける。情保隊員にこんな愛嬌を演じることができたのかと驚いたほどだ。

「ですが、いつの間にやら詰所の中に、由来不明の食べ物が出現してしまったら、我々としては視野が狭くなってしまうこともあるでしょう。食事の際に余所見をするのは不作法というものです」

 隣では澤村が首を振っていたのを思い出し、鷺澤はくすくすと笑った。お調子者の柏木に付き合い切れない、といった様子だった。あれはあれでいいコンビなのかもしれない。

 歩美は手に付着したピザの油をちろりと舌で舐めて、紙ナプキンで拭った。

「あれ、どうしたんです」

「いいえ、なんでもないわ。それで、わたしと日計くんの出逢いだったわね」

「待ってました! その話、聞かせてもらおうじゃないの」

 影のように背後に迫っていた東雲が意気揚々と名乗りを上げた。その傍らには腕を掴まれ、顔の赤い花園咲が引きずられている。恥ずかしそうにしている彼女と東雲は、いつの間にか親交を深めていたようだ。歩美の周囲にこうして集まる引力のようなもの、活気あふれる純情さに中てられたのだろうか。ああ、自分にもこのエネルギーがあれば。そう思わせることが若さだ。だからこそ、当人には理解できない概念なのかもしれない。知らぬが花、幸福とは失って初めて気付くもの。

 こんな感情を抱くとは、どういうことだろうか。いつの間にか老けてしまったというのだろうか。アフリカ戦役に身を投じてからというもの、人間の生き死にを見てきた。凄惨な戦場の有様を見る度に心がすり減る気がする。その代償か、今の自分は歩美を眩しく感じるよりほかない。削ぎ落された、まだ何も知らない頃の自分の欠片がそこにあった。

 そんな彼女の内面の葛藤も露知らず、東雲は首を捻って花園を見やった。

「花園さんも聞きたいでしょう? 我が隊最大の謎よ、この二人は」

「何が謎ですか、失礼な」

「だって馴れ初めひとつ話そうとしないし、二人きりでいちゃつくこともないのよ。顔を合わせれば楽しそうに話してるけれど、年相応の男女にしてはスキンシップが足りないったら」

「それは、ここは軍隊ですし? かといって無理をして自制しているのでもないので、何とも言えませんが」

「まったく、日計君たら堅物なんだから、いくら誘っても――」

「破廉恥です、二尉!」花園が顔を真っ赤にして叫ぶ。遠巻きで話していた日向と日計、有沢がこちらを見やり、また自分達の会話へ戻っていった。男性陣は顔を突き合わせて何やら話し込み、日計と日向が有沢の話を熱心に聞き込んでいる。

 ころころと笑いながら、東雲はポテトをふたつまみほど口の中に放り込んだ。

「あなたも初心なのねぇ。ま、いいや。さあ、話してもらおうじゃない」

 腕を組んで仁王立ちするのと同時に、聞き覚えのある声が響いた。

 面々が顔を向けると、格納庫の正面入り口からやってくる三人の男女が見えた。全員が外国人の風貌をしており、その顔は容易に区別がつく。駆け寄る情保の隊員を有沢が手を振って制した。

「ヘイ、ヨウイチ。妹さんの顔を拝ませにもらいにきたぜ。えらい美人さんらしいじゃないか」

 いきなりの珍客に、洋一が親しげな笑みを浮かべて一歩を歩み出た。他の面々は面食らったようにその場で視線を投げるに留まっている。歩美は唐突に始まった英会話にたじろいでいるようだ。

「なんだい、ハートライトじゃないか。どうしたのさ、こんなところで」

「どうしたもこうしたも、行きたいって聞かなくって。お邪魔するよ」

 間に立つアッチソン・ローランが、やれやれといったふうに頭を振った。両手で段ボールの箱を持っており、それを洋一へと手渡す。

「はい、これ。中には炭酸飲料が入ってる。ぼくらがいつも飲んでるアレ。差し入れさ、みんなで飲んでおくれよ」

「ありがとう」洋一は目顔でピザを示し、「でも飲み切れないから、手伝ってくれると助かるな。ちょうどこいつに合いそうな食べ物もあるし、どう?」

「そうこなくっちゃな」

 陽気な金髪の青年はすぐに誰それと探し当てると、突然の異国人の登場に硬直している歩美の顔をしげしげと値踏みするように覗き込んだ。

 鷺澤の目から見ても、ジョンソン・ハートライトはアメリカ人らしい好青年で、格好良かった。流れるような豪奢な金髪と薄い碧眼は太陽のように輝きを放っており、フランクな笑みが同年代には効果てきめんであろう。みなとみらい駐屯地の、今は亡き友人たちも彼を目にしたならば囃し立てでもしたかもしれない。

 みなとみらい。その言葉と記憶に陰った面差しに気付いたのは、洋一の他にいなかった。

 そんなことも露知らず、好青年はひとつ頷く。

「フム、悪くないな」ハートライトはおためごかしに言い、「君の兄さんには世話になってる。世話してやったこともあるけどな」

「やめなよ、ハートライト。突然の外国人に怖がってるじゃないか」

「少女を怯えさせるのはスマートではないな、少尉」沈黙を守っていたジェーン・マクファーティが口を開いた。「まずは部隊長への挨拶が礼儀というものだ。アリサワ一尉はどなたかな、ヨウイチ」

「はい。こちらです、大尉。有沢さん!」

 既に場を察して近づいてきていた有沢が頷き、立ち止まって女傑と対峙した。

 ハートライトが口笛を吹いた。鷺澤も、他の兵士たちも息を飲んで、両者の対面を見守った。歩美がますます縮こまってしまい、少し離れた場所へ避難している花園の背中を静かに追いかけていく。

 鷹の目を持つ英雄の息子と、覇気を身に纏う青い目の女傑が向かい合っている。ただそれだけであるというのに、言いようのない緊張感が張りつめていた。ぴん、と張った琴の糸をつま弾くように、お互いに隙の無い敬礼をする。階級の上では同等だだが、互いに敬意を払っているのが見て取れた。

 始めに口を開いたのはジェーンだった。手を下ろすやいなや、値踏みするように有沢の頭からつま先までを一瞥する。

「お初にお目にかかる。合衆国陸軍第二二四PG旅団、第三七一PG大隊アルファ中隊、ジェーン・マクファーティ大尉だ」

「わたしは陸上自衛軍、中央即応集団第一技術試験旅団、第七PG中隊の有沢琢磨一等陸尉だ」

 そして予想外なことに、有沢は口の端を僅かに吊り上げて笑った。

「あなたは客人だ。わたしから名乗ったものを」

 礼儀正しい一言を鼻で笑うと、ジェーンは流れるように豪奢な金髪を手で梳いた。

「名を聞く前に名乗るのが貴国の礼儀と聞き及んでいるものでな。一尉、我々三名も御同席願えないだろうか。突然の来訪で無礼千万とは思うが……」

「願っても無い申し出だ。みんな、続けてくれ。大尉、わたしがお相手をしよう。どうぞこちらに」

「恐縮だ」

 二人がテーブルの一角へと移る。ローランが場を察してハートライトを引っ張っていった。近付いてきた日向、洋一と笑いながら何かを話している。互いに肩や背中を力いっぱい叩き合っている男軍人は放っておいて、鷺澤は女性陣に向き直った。

 戻ってきた花園が大きく息を吐く。どうやら呼吸を忘れていたらしい。確かに、そうなるほどの気迫というものがあの二人にはあった。今もこちらには聞こえない声量で話し合っている指揮官たちは、近寄りがたい空気を醸している。表情は真剣そのものだ。互いの喉元に刃を突きつけている訳ではないが、互いに刃の切れ味を確かめようと隙を窺っているようにも見えた。共に、相手の人間性を見極めようとしているに違いない。

 鷺澤は聞き耳を立てようとして、やめた。そもそもが、上官の会話に部下が割り込むべきでないし、気にした所で何がどうなるわけでもない。

「凄い空気だったわねぇ」と、東雲。

「わたし、何を言っているのかわかりませんでした。英語は勉強しておいたほうがいいですよね、やっぱり」

 歩美の言外の意図を量りかねて、鷺澤は曖昧に相槌を打った。それは自衛軍への入隊を決意しているからなのか、それともグローバル化を進める時代の潮流に合わせた感想なのか。

 そういえば、彼女はハミングバード中隊について知らないのだと思い当たり、鷺澤はかいつまんで説明してやる。もちろん、日本語で。歩美は両眉を吊り上げて口元をおさえ、声を上げた。新鮮な反応に居並ぶ女性陣がみな顔をほころばせる。

「そうですか、あの人たちが。テレビでも言われてましたよ。日本の『折れない剣』、ドイツの『第七の盾』、そしてアメリカの『ハミングバード』。アフリカ戦役を支える精鋭PGTAS部隊だ、と」

「そ。あの人らには、操縦技量じゃ及ばないわね。わたし達はホラ、機体性能におんぶにだっこのところあるじゃない? APCSに不具合ひとつあれば平衡感覚なんてどうとでもなってしまうし」

「ギガスの正面に躍り出る人の台詞じゃないと思いますけど……あ、そうだ。鷺澤さん、馴れ初め。馴れ初めですよ。しっかり聞かせてもらいますから」

「何よぅ、忘れてたと思ったのに。まあいいわ。日計くんもどうせ隠してない、というよりも自覚していないでしょうし」

 花園を含めて身を乗り出してくる三人に向け、鷺澤はぽつぽつと話し始めた。いざ語り始めれば頬が熱くなるのを感じたが、彼女を見つめる眼差しに多分に羨望の成分が混じっていることには気付かない。

 みなとみらい駐屯地は横浜港の中心に位置していた。徒歩圏内に観光地あるいはデートスポットである、横浜ランドマークタワーなどの商業施設が多く連立しており、横浜港襲撃事件以前は教官の目を盗んで恋仲になった訓練生が週末に足を運ぶことが悪しき慣習になっていた。年頃の男女が同じ生活を送れば、ついた離れたは日常の一部だ。第七PG中隊の全員の指導を担当し、横浜港襲撃事件時に殉職した厳しさで知られる鉢塚二等陸曹ですらも、色恋沙汰には力なく首を振るしかなかったほどだ。いくら教官たちが目を光らせても自衛軍は男女混合で組織されるから、訓練時代から男女を分けることはできない。むしろ組織に馴染ませるという意味では別離することは逆効果だと考えられていた。

 どれだけ教練担当陸曹たちが口酸っぱく教え諭し、訓練で個人の時間を削りに削り、有り余る思春期の体力を搾り取ったとしても、公務員である以上は休暇が申請されてしまう。さらに言えば思春期の男女が集団生活を送っているというだけでも、管理職の苦労が知れるというものだ。

 そんな中、鷺澤朱里と日計洋一は出逢う。

 鷺澤は実家が小さな町工場を営んでおり、資材搬入用の重機に触れて育ったこともあって機械というものを身近に感じていた。特に人類の保有する機械の中でも特大の部類に入るPGTASへ対する興味は人一倍に持っていた。当然の経緯として自衛軍へと入隊して適性検査と面接、基礎教養試験の後にみなとみらい駐屯地に居を構える第二PG教育隊へと配属が決定し、中の上という評価で門戸を潜った。

 興味関心から自衛軍への道を進んだ鷺澤とは対照的に、日計洋一は安定した就職先を求めて失業の心配が無い自衛軍を親の勧めで知り入隊を決意する。本人曰く、安定した職というより国防意識に意義を感じてのことでもあるというが、それは後から目覚めた意識であることも告白していた。特に横浜港襲撃事件からの彼の軍人意識には、鉢塚二曹の思想が多分に根付いているのだという。試験からの経緯は鷺澤と重複し、適性検査を経てPG科へ進んだ。彼女ほどではないにしろ、素人であるにも関わらず良好な適性結果を残して、同じく第二PG教育隊へと配属された。

 ペットボトルの烏龍茶が全員に手渡される。花園が女性陣へ飲み物を配り終えると、早くも新しい一本へ口を付けた。鷺澤は自分の記憶を掘り起こし、出来事の羅列を言葉で紡いでいく。

「そういうわけで同じ教育隊に配属されたんだけど、初めて日計くんを知ったのは教育隊に配属されて一週間が経った日だった。自衛官とはいっても部屋仲間というのもあるし、同室の有人たちとも程よく打ち解けて廊下を歩いていた時のこと。自慢じゃないけれど、わたしはそこそこ男子から人気のあったほうだったみたい」

「そりゃまた、鼻高々ね」やや拗ねた様子で東雲が言う。「自分で言っちゃうのかしら、今の娘って。わたしたちの基準からしたら考えらんないわ。ねえ、花園さん?」

「え、わたしですか。朱里ちゃんが自己申告したのではなくて、日計君が言っていたんじゃないですか?」と花園。

 鷺澤は頷いた。

「他からも言われましたが、まあ、意識するようになったのは日計くんに聞いたからです。東雲さんにまたなんか言われちゃいそうですけど、顔を合わせる男子がみんなして笑顔になるわけですよ。高校や中学でもそんな感じだったから、ああ、ここもそんな感じなんだなって舞い上がってたのが運の尽き」

 大きな笑い声。弾けるように腹を抱えて笑っているのは歩美だ。ポニーテールに束ねた茶髪が頬にかかるのも気にせず笑い転げている。

「なぁんだ、そういうことですね」涙を指で拭いながら彼女は何とか落ち着いて、「わかりました。鷺澤さん、廊下で兄と顔を合わせたんですね。兄さん、にこりとも笑わなかったんでしょう。むしろ仏頂面で、不機嫌だったんじゃないですか?」

「さっすが妹ね。やっぱりわかるもの?」

 特に自尊心が肥大化した実感もなかったのだが、それでも心のどこかでは増長していた部分があったのだろう。目を合わせると、当時の洋一はまったく憮然としたままに、こちらを見つめ返してきた。むしろ不機嫌で、敵意すら抱いていたかもしれない。

 どことなく違和感を感じて――いや、正直に言うと嘲られたように思い、一先ずいつもの通りに微笑んでみた。多くの男子には向けない笑顔だ。大抵の男ならば照れ臭そうにはにかんで視線を逸らす。

 ところがというべきか、やはりというべきか。日計洋一は不快そうな、困った風に眉を潜めると、そのまま踵を返してどこかへ行ってしまった。それが思い返す限り、本人ですらも覚えていないだろう最初の出逢いだ。人生が交錯した瞬間。

「第一印象はズバリ『なに、あいつ』って感じ。どうしてあんな顔をされたのかが理解できなくて、そこでわたしは自分が驕っていることを自覚したんです。同時に恥ずかしくなりました。見も知らぬ相手にいきなり笑顔を振りまく理由がわからなくて、怒りではなく困惑から彼が顔を顰めたんだと思い当たったのは、それから二週間も考えた後です」

 当時の感情を思い出して、鷺澤は懐かしくもあり、甘酸っぱさの残る日々に浸る。

「それじゃあ、朱里ちゃんにとっては、日計君は必ずしも好青年には見えてなかったってこと?」

「はい、花園さんの言う通り。で、次に聞かれると思うから先に答えてしまうと、ああ、この人のことが好きなんだなって気付いたのは蒼天に乗り込んだ訓練中の話。鉢塚二曹が彼の後部座席で怒鳴って、わたしが叱られた時、真っ先に心に浮かんだのは彼に申し訳ないって気持ちだった。なんでそう思うのだろうって考えたら、もう、答えはひとつしかなかったわけ」

 興味津々に相槌を打っていた東雲が首を傾げた。

「それで、好きだって気が付くものかしら。確かに鉢塚さんが頭の後ろで怒鳴ってるのはとんでもなく怖いけど。わたしなら、ただ単に気を使ってるだけだと思うけど」

「東雲さん、彼氏とかいたことないんですか?」

 無邪気な手で禁忌タブーに触れようとしたのは歩美だ。花園と鷺澤は素早く目配せをして、いざというときには東雲を抑え込めるように僅かに身構えた。

 よく言えば冷静な、悪く言えば冷徹な視線を歩美へと射込みながら、東雲は言った。

「ないわよ」

 沈黙。

「ないんですか」

「ええ、ないわ。なにかいけない?」

 再びの沈黙。

 慌てて、歩美が両手を胸の前で振った。

「いいえ、その、意外だったので。東雲さんくらいお綺麗なら、他の人たちが放っておかないでしょうし。絶世の美人ですよ、本当に」

 ぴくり、と彼女の頬が痙攣する。

「そうかしら。この部隊にいるけど、誰も目にくれてないわよ?」

「兄は堅物ですし、日向さんも花園さんにぞっこんですから。有沢さんは指揮官だから、率先して恋愛をすることもできないでしょ」

「歩美ちゃん、自衛軍に入らない? うちの中隊においでなさいな。大丈夫、お姉さんが守ってあげる」

「東雲さん、歩美ちゃんの自由意志に任せるって話だったじゃないですか」

「冗談よ、冗談。堅物なのは朱里ちゃんもじゃない」

 ほっと胸をなでおろしながら歓談が進んでいく中、鷺澤は腹を満たす為にテーブルへと向かった。つと視線を流すと、同じように輪から外れている洋一と視線が交錯する。

 自然と二人で並び、ピザの前に立った。青年は彼女の好みに合ったシーフードのクリスピーを手に取り、皿の上に載せてやる。出会った時とは違い、愛想を振りまくこともなく、しかし真心を込めて、鷺澤は洋一へと言う。

「ありがと」

「どういたしまして」

 しばらく、無言のまま二人でピザを頬張る。タバスコが欲しいところだが、食堂内の備品として扱われているために持ち出しはできなかった。

 腹八分目となったところで、鷺澤は切り出した。

「歩美ちゃん、みんなに気に入ってもらえてよかったわね」

 顔を見ずとも、隣に立つ彼が複雑極まりない表情をしていることは容易に感じ取れた。もしかしたら口元をへの字に曲げているかもしれない。勿論、鷺澤に対してではなく、現在の状況に対してのものだろう。

「うん、まあ。有沢さんに撃ち殺されなかったから、合格ってことなんだろうな」

 吹き出しそうになるのを堪えてむせ返った。

「何よそれ」

 彼はちらりと笑みを見せた。

「あいつ、現実主義に見えて、根がどうしようもなく青臭いだろ。有沢さんがそこを気に入らないかもしれないとはらはらしてたけど、杞憂だったみたいだな。まったく、兄らしくしていようと思っていたわけじゃないけど、老婆心が先に立ったみたいだ」

「有沢さんはそんなに度量の小さい人じゃないし、歩美ちゃんも器量が悪い訳でもないでしょうに」

「うん。あいつは――歩美は何かを決める時、人一倍悩む癖がある。慎重なんだ。だけどその分、一度決めたら絶対に折れない」

「こうしてナイロビに呼んだのは、歩美ちゃんにとって悔いのない選択をしてもらうため?」

 少しだけ考えた後で、洋一は曖昧に頷いた。

「今さら言うまでもないけど、始めはあいつがアフリカに来るなんて以ての外だと思ってた。南極戦争における最も激しい衝突地域だぜ?」

「そうね。あんな可愛い妹がこんなところに来るなんて、兄として受け入れられなくて当然だわ」

「でも、手紙ではなくきちんとした、ぼく自身の言葉で伝えるべきだと提案してくれたのは、ローランなんだ。その無理難題に許可を出してくれたのは神崎三佐で、そういう意味で言えばぼくは何も関わっていない」

 よほど腹が減っているのか、洋一はすぐにピースを食べ終えて次のピザを手に取った。

「正直な話、あの人が助け船を出してくれなかったのなら、ぼくは方々に頭を下げて回るしかなかったろう。でも、三佐が何を考えているのかはわからずじまいだ。もしかしたら、紫雲のドライバー候補を増やしたかったのかもしれないな。ドライバーと機体は表裏一体。ぼくらの予備は防衛省も探しているはずだ」

「まさか。ドライバーが死ぬ時なんて、紫雲も無事ではないでしょう。そうなれば予備のドライバーなんて――」

 そこである可能性に辿り着き、鷺澤は口をつぐんだ。

 神経接続を必要としている機体が、新たに製造されているのだろうか。そうすれば辻褄は合うが、考えすぎな気もする。しかしPGTAS開発競争が激化している昨今の情勢下で、日本だけがその例外として一日の長を保っていられるのだろうか。

 答えは、否だ。小林修一が本国へ呼び戻されたのにも理由があるに違いない。開発競争に備えた次世代機の開発であるならば納得のいく話だ。日本国内において、山岸重工などの後ろ盾を得て日本国内のPGTAS生産基盤は盤石になりつつあるが、PGTAS開発のドグマといえる根本理論は小林当人しか持ちえないという話も二人の特技下士官から聞くことがある。

「神経接続の適性は全て先天性に依存している。だからこそ、遺伝的な繋がりに頼るのは必然的な流れだ。ぼくが主任なら同じ選択をするだろう。部品は多ければ多いほど良いから」

 信じたくない彼の推測に、鷺澤は暗澹たる思いに胸が満たされていくのを感ぜずにはおれなかった。同時に洋一の抱いている懸念に、僅かに触れた気がした。

 どうやら彼は小林修一にささやかで判然としない疑心を抱いているようだ。思い返せば、彼の技術主任と青年の間には形容し難い緊張感が漂っている。共に歩いている時、話している時、洋一の表情にいつもの穏やかな色はなかった。諧謔的な人間関係を構築することもなく、有体に言えばドライな、人間関係とは別の入出力関係。

 両者の間に何かがあったのだろうかと勘繰るも、心当たりはない。いや、もしかしたら、いつしかの屋上での一件なのかもしれない。あの時、自分を追い出した後で何を話していたのか。

 無性にそれを洋一に問いたくなったが、仮に問うたとしても回答は得られないだろう。この自分に報せないためにこそ、小林は人払いをしたのだ。話の内容には大いに興味があるが、二人きりでいる時にも洋一が口に出さないことからして、知り得れば彼か自分かが危険に晒されると考えられる。この部隊にいれば命より重い機密を背負うことはざらだ。

 紫雲の上をいく機密など、何があるのだろう?

「聞きたいんだけど。歩美ちゃんが入隊を決めたら、どうするの。賛否とは別の、指導をつけてあげるとか、そういう具体的な話ね」

「ぼくは、どうもしないよ」

 彼は妹を見やった。その眼差しには多分に愛情が含まれている。先日の失神前に比して穏やかさを増した彼の切れ味が鈍っていないかが気がかりに思えるほどに穏やかな眼差しだった。

「まあ、何にしても。これであいつは後悔しないだろう。たとえどんな結末になったとしても、結果を受け入れることができるはずだ」

「そう。日計くんは後悔してるの?」

「いいや、まったく。君がいるだけで、そんなことはこれっぽっちもありはしないからね。未来を考えてそれを守るというのは、素晴らしいものだ」

 わたしにとっては、あなたが、そうなのよ。鷺澤朱里はそう言いかけ、手を伸ばして彼の頬に触れる。

 未来は、形なきモノとは限らない。





 自宅へ戻ったその晩、日計歩美はいつも通りに手紙を書く。いつもの部屋で、いつもの机で、いつものペンを握って。しかしその心持だけは変わっているような気がして、これは成長なのだろうかと首を傾げる。

 返事の分はアフリカで話した。これまで生活を共にしてきた時よりも、遥かに濃密な意思疎通ができた気がする。兄の考えていること、立場、戦争に対する世界の潮流や圧力。自分が感じ、抱いた感情を詳らかに説明し、その全てがかけがえのない財産となるであろうことは疑いようもなかった。

 これ以上ないほどの収穫を得て、「折れない剣」との、二日間にまたがる濃密な出会いは終わった。そして今回のアフリカ訪問は、彼女の成長だけでなく、終わりの見えない南極戦争に確かな一石を投じることにもなった。

「君の極めて貴重な意見は、決して口外しないようにお願いしたい」

 帰り際、輸送機の高まるターボファンエンジンの推進音に紛れて有沢琢磨が言った。吹きすさぶ風の中でも乱れない戦闘服と眼差しを、今でも鮮明に覚えている。

 彼が言っているのは、ヘルフィヨトルが人類と戦う動機についての、あの一件だ。他愛もなく思い浮かんだことを口にしただけのつもりが、第七PG中隊の面々にはかなりの衝撃を与えたようだった。

「そんなに大切なことだったのでしょうか」

 隣の滑走路を離陸していく、輸送機の護衛機に負けじと叫ぶと、彼も口に両手を当てて怒鳴った。

「君が感じているよりも、ずっとな。そう簡単に割り切れる問題ではない。今回の一件で何があるということでもないが、そもそも言いふらすような話でもないだろう」

 返事をしようと息を吸い込むが、叫ぶよりもいい方法があることを思い出す。しっかりと彼に向って頷き返し、感謝を込めて辞儀をした。有沢は満足そうに頷き、踵を揃えて敬礼した。そのまなざしには厳しさだけでなく、この一週間ほどでは気付くことのできなかった優しさが見て取れる。彼もまた人の子なのだと、どこかほっとする。

 スーツケースを手に取って機体横のタラップを上ろうとした時、遠方の格納庫から電気自動車が猛スピードでやってくるのが見えた。助手席から身を乗り出して手を振っているのは兄の洋一だ。隣席は鷺澤朱里。アフリカの陽射しを照り返しているルーフが眩しい。来た時も、やはり彼女が運転していたらしかった。

 二人で乗り込んでいく慰問者を見送り、完全に停車していない車輛からドアを開いて飛び降りてきた兄を、歩美は両手を広げて迎えた。洋一は両眉を吊り上げたものの、少し照れくさそうに歩み寄り、抱擁を交わす。驚きと共に、歩美は全身で兄の存在を感じていた。それは初日とは別の印象を彼女に与えた。これほど逞しい体つきになっているとは思わなかった。外見ばかりが変わるものではないとはわかっていたが、自分の記憶にある兄の姿と肌で感じる存在を比較して、笑みが浮かぶ。同時に、その腕に包まれている自分も彼に別の印象を与えているであろうことを願いながら。

 それでも、兄は兄だった。きっと敵を前にしてもそれは変わらない。だからこそ強いのだろう、と歩美は信じた。変わらないことは難しい。

「こないだのパーティーで少し太ったか?」

「サイッテー」

 思いきり両腕を締めた。笑い声を上げて、兄は力一杯に妹を抱きしめ、体を離す。少し遅れて車輛から降りてきた鷺澤が少し離れた場所で、微笑みながらそれを見守っていた。

「兄妹で仲のいいことね。日計くん、次わたし」

「ごめんな、鷺澤。上官の前では憚られる」

「だろうと思った。有沢さん、東雲さんが呼んでいました。藤宮群長からお呼びがかかっているそうです」

「了解した」有沢は踵を返しかけ、ふと思いついたように、「日計妹」

「はい」

 妙な呼ばれ方をしたものだった。それでも背筋を伸ばして返事をすると、彼は意外なことを聞いてきた。

「髪の手入れの秘訣は?」

「はい?」と歩美が首を傾げる。

「髪の毛だ。綺麗な髪だ。手入れはしているのか?」

 戸惑いながらも、歩美は脊髄反射的な返答を返していた。

「洗いすぎないことです。それと、頭皮を傷つけないこと、でしょうか。あんまりがしがしと洗わないようにしてます。シャンプーとかは、わたしは気にしてません」

「そうか。ありがとう。では、幸運を祈る。君は君の戦いをするがいい。そして勝てよ」

 さして急ぐ風でもなく、有沢琢磨はきびきびとした調子でもう一度ラフに敬礼し、答礼を待つことなく滑走路から歩み去った。近くを通りかかった輸送車輛を止めさせて同乗し、あっという間に姿を消してしまう。

 彼のいなくなった後で、鷺澤が吹き出していた。反対に洋一は困惑したように眉根を寄せている。

「なんだったの?」

 洋一は呆気にとられた様子で肩を竦めた。

「さあ? 鷺澤、あの人に髪の毛に対するフェティシズムってあったのか」

「ないわね。有沢さんに限ってあんな性癖を持ってるわけないわ。なんらかの事情があるんでしょうけど……本人に聞ける?」

「だよな。ま、いいか。何にしても気にしないことだ。上官の性癖なんて探るだけ野暮さ……おっと、荷物はこれだけか?」

「うん。お泊りだったけど、洗濯できたから」

「忘れ物は」

「ない。三回も確認したから」

「よし、ばっちりだな。それじゃ、鷺澤にお礼を言って」

「わかってるわよ、もう。鷺澤さん、本当にお世話になりました。兄のことをよろしくお願いします」

 深々と頭を下げる歩美の頭の上に、鷺澤は近寄って手を乗せて指を突っ込んだ。兄のものとはまた違った、繊細な指が頭を撫でる。

「こちらこそ、本当に楽しかったわ。東雲さんも花園さんもそう仰ってた。次は日本になると思うけど、時間があればまた会いましょ」

「ええ、楽しみにしてます。あ、そうだ。日本に帰ったらうちに寄ってください。帰ってきた兄と二人で。挨拶はしないといけないでしょう?」

「アハハ、そうね。キセイジジツって手もあるけど、さっすが歩美ちゃん」

 聞こえないふりをしている兄の肩を叩き、歩美は微笑んだ。

「体に気を付けて。そうもいかないお仕事だと思うけど、自分自身をいちばんにしなくちゃだめよ」

「わかってるって。お前は何も心配しなくていい」

「やっぱりわかってない。そんなこと、できるわけないんだから」

 曖昧に笑みを返す洋一をしばし見つめた後、歩美は再び口を開いた。

「手紙の続きは、帰ったらわたしから書くわ。これから忙しいのよね?」

「ああ。多分、ニュースに出ると思う。特番も組まれるんじゃないかな。今まで通り、ぼくらは戦うだけだ」

「戦いに、わたしも加われれば、何かができるのかな」

 洋一は歩美の目を真っ直ぐに見つめた。

「歩美。銃を撃つことだけが戦いじゃない。そして、目に見える何かだけが、戦いに関係があるわけでもない。戦うために必要なことは、ひとつじゃない」

「つまり?」

「お前にできることはたくさんある。視野を狭めるな。考え続けろ。お前以外にできることでも、お前がやらねばならないことがある」

 どんな結果であれ、為さねばならぬことがある。そんな言外の意図に気付けなかったのは、自分が未熟なせいだと、今は思える。

 次の戦いは、刀を鍛えるよりも激しい火花を散らすものとなるだろう。兄はそう悟っていたに違いない、と歩美はボールペンを握りながら思い返した。

 少しだけ胸騒ぎを覚えたのは、鷺澤朱里と滑走路の脇に並んで離陸を見守っていた兄の姿を見た時だった。手を繋いでいただろうか。既に夫婦のように見えなくも無い。まだ婚約すらもしていないというのに、仲睦まじいという言葉が浮かぶ。そんな兄はまだ二十一だ。人生を生き急ぎ過ぎていないだろうか。

 ――もしかしたら、兄と会うのはこれで最後になるかもしれない。

 不吉な予感を振り払う。大丈夫だ、兄は、兄だけではない。有沢琢磨や鷺澤朱里、東雲南津子、大勢の仲間がいる。たとえ彼らだけになったとしても、決して折れはしないだろう。

 しかし、お似合いの二人だ。鷺澤朱里でしか日計洋一という人間の真っ直ぐさを受け止めることはできないだろうし、洋一しか彼女の苛烈な愛情を許容することもできはしないだろう。相性の良し悪しではない。プラスにはマイナスしかいないことと同義だ。ただ、それだけの話。理科室で習う恋愛法則。お互いに愛すべきだと感じた。

 輸送機が離陸していく。ターボファンエンジンの重厚な排気音と共に加速度が胸にかかり、微かな息苦しさと共に力強く重力を振り払い、彼女を空へと送り出した。

 故郷の土を踏み、自宅へ帰り、両親と再会しながら、兄が言ったように、歩美は常に考えていた。

 自衛軍へ入隊するのか。自分の進みたい道が、兄の足跡と重なっているのか。思えば長い、これ以上ないほどに長く感じられた貴重な時間だった。アフリカの大地は赤い日差しに染まり、燃ゆる魂を胸に秘めた兵士たちに、かけがえのない体験をさせてもらった。あの時見かけた自衛官の何人が無事に日本の土を踏めるのかは、今は考えないでおこう。イギリス第二十師団の戦死した兵士たちと、その家族のことも。今は、自分のことだけを考えればいい。そのためにこそ、彼らは命を賭して戦っているのだから。

 これまで、自分には彼らのようになるか、平和を享受するかの二択しか人生で与えられていないと思っていた。しかし胸の内にもうひとつの道が拓けていることに、歩美は気が付く。

 日本へ帰国したその日の内に、彼女は自分でも驚くほどに早く決意を固めていた。

 机の上段に入れた引き出しから、味気ない便箋と封筒を取り出す。先ほどからくるくると指で回していたペンを軽やかにノックした。同年代の女子高生が使うような可愛らしいデザインではなく、黒を基調とした実用性一辺倒の味気ないものだ。重要なのは見かけではないことを、彼女はもう知っていた。

 苦笑いをかみ殺しながら、歩美は続きを、自分の人生ものがたりをペン先から紡ぎ出す。

 想いを形にすることは簡単だ。人間には言葉がある。しかし、ヘルフィヨトルには無い。それこそが決定的な違いだ。言葉さえあれば、人は魂を誰かへ伝えることができる。受け継がれた魂は消えることはない。

 冒頭の書き出しは、もう決まっている。迷うことの無い筆さばきで、妹は兄への手紙を綴った。

「親愛なる兄さんへ。わたしも戦うことに決めました。誰かを守りたいと思う気持ちは、兄さんにも負けないと思うから。でも、わたしの戦いは、兄さんとはちょっと違う方法になると思う――」

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