Fantastic!!!
カゲトモ
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「やぁ、さすが君のお店だね、センスがいい」
そう言って入って来たのはあのVIPルームで担当したお客様、伏倉さんだった。相変わらずシックなハットがよく似合っていて、一目見て普通の人とは違うって良く分かる。だって明らかにお金持ちって雰囲気がするもの。
「お久しぶりです。ご来店頂きありがとうございます」
「会いたかったよ、花菱君。君の作ったカクテルが忘れられなくてね」
カウンターに座りながらそう言ってパチン、とウインクを飛ばしてくる。なんだろう、このデジャブ感。凄いお金持ちの人ってみんなこんな感じで男相手にもウインク飛ばすものなの?
「ありがとうございます」
「ラストはX・Y・Zに決めているんだけど一杯目は任せてもいいかな?」
「もちろんです」
「それじゃぁ何かあっさりとしたのが良いな」
「お任せください」
伏倉さんはにっこりと笑った。それは多分、期待を込めた微笑みで。
あの日、あまりカクテルは飲まないと言っていた伏倉さんは俺の作ったものを凄く美味しいと言ってくれて、リンの頼みで臨時バイトに行っただけなのに次も指名したいと言ってくれた人。それなのにこの期待に沿えないでどうするか。プロのバーテンダーならその期待を超えるものを出さなければ。
丁度昨日、良い日本酒を貰ったところだ。あの日も変わったカクテルを作ったら喜んでくれたし、無類の酒好きと公言する伏倉さんのことだ、きっと気に入ってもらえると思う。
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