終章

《終わりに》


―――


 短大の幼児教育科の卒論で『新撰組』について取り上げるつもりだと言った時の担当教官の驚いた顔は、今でも私の記憶に残っている。


 そして私の決意を聞いた時の、「頑張って」という言葉も忘れられない。




 私は歴史好きの父親の影響で、小さい時から時代劇が好きだった。

 その頃は小説は難しくて読めなかったから、いつも父の日本史の講釈を聞いていた。


 中学生になって日本史の授業が始まると、それまで以上に歴史に興味を持つようになった。特に戦国時代と幕末が好きだった。


 高校生になると歴史好きな友人ができ、毎週月曜日がくると前日のドラマの批評会なんていうのも開いた。

 選択科目はもちろん日本史。正に歴史漬けの高校生活だった。

 そして転機が訪れる。


 新撰組を題材にしたドラマを見て、本格的に新撰組へとのめり込んだのだ。


 一年間追い続けて得たものは、もっと彼らについて知りたいという欲求だった。


 これが、卒業論文で「新撰組」を選んだ理由である。




 新撰組というテーマに対して、答えは決して一つではない。

 何が正しくて何が間違っていたかなんて、例えどれだけ時間が経とうとも正解はわからないだろう。


 日々悩み、がむしゃらにもがく人間たちがそこにいた。ただそれだけだ。


 それぞれの考え方や人生があったからこそ、時代は変わったのだ。


 今私たちがいる世界は、彼らたちの血と汗と涙の結晶だ。


 ハッピーエンドの結末ではないけれど、一生懸命生きた姿が魅力的なのだろう。



 新撰組は歴史の被害者か。


 否、彼らは自分の意志で動乱の最中さなかに身を投げた。


 新撰組は明治維新を完成させる為のキャストだったのか。


 否、彼らはただ目の前にある大切なものを守る為に、必死に生きただけだ。



 貴方たちは最後に希望の光を見ましたか?


 世界が音を立てて崩れるその日まで、幸せでしたか?



 返ってくる事のない問いだけど、私はそれを聞いてみたい。



そして『誠』の正義の名の元で戦い続けた真の武士たちに、最大限の敬意を表したいと思う。









 お読み頂き、ありがとうございました。



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新撰組よ!『誠』の大旗を掲げていざ戦え―― @horirincomic

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