寂しげな女の子

ツヨシ

第1話

私の家のすぐ近くに児童公園があるのだが、ある日を境にその公園のブランコに女の子が現れるようになった。


生きている女の子ではない。


死んでいる女の子だ。


私にはいわゆる霊感と言うものが少しだけあって、まれにぼんやりと見えることがあるのだが、ここまではっきりと見えたのは初めてだった。


一見、まるで生きている人間のようにも見える。


しかしよく見るとわずかだが透き通っているし、日によってはさらに薄くなることがあるので、生きた少女ではない。


その年齢は四歳くらいだろうか。


私はその少女のことがいつも気になっていた。


なにせその表情がすごく寂しげなのだ。


思わず声をかけようかと思ったことも一度や二度ではないが、女の子はどうやら私以外の人には見えていないようだ。


誰もいないブランコに話しかけているところを近所の人にでも見られたら、どんな噂が立つかわかったものではない。


それでいつも半ば見て見ぬふりをしていたのだが、ある日とうとう我慢が出来なくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る