あの人はアンジョー?
どてかぼちゃ
『あの人は?』シリーズの解説 ※重要です
― ニャゴローによる『あの人は?』シリーズの解説 ―
私はこの世界における、とある特定人物だけの神ニャゴローである。
担当していた〝古屋功名〟がその生涯を終えた事により、生存時の世界構成に似て非なる別世界へと転生プログラムを実施。
生まれ変わった彼を見守る為、飼い猫となりて一緒に暮らしている。
因みに私はあくまでも〝古屋功名〟の神であって、担当する人物こそ違えど同じ役目を果たしている神は他にも大勢いる。
ハッキリ言おう。
その仕組みが私自身よく分からない。
この世に生を受けて早幾千の時を渡り歩いてきた私。
それでも世は不可解な、摩訶不思議な謎だらけ。
他の仲間に会うどころか、どうやら私達にも神に相当する者が居るらしいのだ。
自分自身の使命を深く考え、答えが見つかりそうになると、決まって記憶を喪失。
つまり不都合な事実はその神に依って消されているのだ。
それと同じことを私は〝古屋功名〟の生まれ変わりに行っているのだが。
さて、本題に戻ろう。
〝古屋功名〟なる人物は生前不遇な目に遭いながらも、自身を犠牲にして複数の人物を助ける事に尽力を尽くす。
本人に自覚は無いのだが、結果そうなっていたと言ったほうが正しいかも。
彼の生涯はそれなりに長く、決して短いとは言えない。
しかし不運な事故により、人生三分の一は植物状態で過ごすことになった。
私とて助けてやりたいのはやまやまだが、そこまでの力は持ち得ていない。
死後転生へと導く、或は不都合な記憶を強制消去するぐらいが関の山。
本来神と名乗ることさえおこがましい存在なのである。
この先永遠に輪廻転生を繰り返す事になる〝古屋功名〟。
いうなればそれがこの世界における理。
足長おじさん的な生前の行いに免じ、今回は少しだけ意向を汲んでやるとしよう。
偶には楽しく幸せな人生が彼にもあっていいじゃない。
彼の望みとは、
・前回中卒で社会人となったから、次は普通に高校、大学へと進学したい。
・家族は全員仲良く。
・最低60歳までは元気に生きる。
・とにかく笑顔が絶えないように。
これだけでいいと言うのだが、そんな普通の幸せだけでは見ているこちらが退屈。
プラス要因だけではなく、やはり少しはマイナス要因も加えることにしよう。
・生まれ変わりは〝古屋功名〟と別人
・前世に於ける〝古屋功名〟なる人物のコピーを同級生として登場。
・言い寄る肉食女性達は前世の関係者、或は近親者。
・それ以外にも様々な人物との出会い。
・前世の世界と似ている為、既視感に捉われがちとなるもその都度記憶の消去。
・その他エトセトラ。
追加で細かい設定を諸々組み込んでみた。
なるべく本人と私が顔を合わせないよう、猫アレルギーとなったのもその一つ。
生き物を飼う時は只見ているだけだと何も楽しくない。
やはり何らアクションを起こしてほしいもの。
特に物を食べる姿には感動すら覚える。
そんな訳で、その為の餌となる出来事や人物を時々放り込んでやろう。
それが吉とでるか凶とでるかは自然の成り行きに委ねようと思う。
私にとっての〝古屋功名〟は……エッヘンウォッホン!
〝古屋功名〟は人間に於ける熱帯魚や蟻観察キットと同じ。
その生涯を見守るのが目的なのだ。
勿論永遠に。
そして彼の生まれかわりは高校生になると過去の様々な人物と再会を果たした。
それは友人であり、同級生や先輩。
勿論家族もそうだし先生もその一人。
極めつけは他人である本人。
しかし物語は折角出会いを果たした後なのに、別れたところから始まる。
今回の世界では〝古屋功名〟の生まれかわりである〝三河安成〟が主役。
様々な視点で彼の生きざまを記録するとしよう。
そして始まる二度目の高校一年生。
さて、我輩にどんな生き様を見せてくれるのだろうかニャ?
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