第969話 未来への可能性

 ククルカンの神殿にため息を付き、インカ帝国のアカプルコの港で次の目的地イエローストーンに行こうと出港の準備をしている頃、茨城城の高琴から知らせが届いた。


『父上様、隠居城が完成したので一度入城していただけないでしょうか?』


信琴と高琴が、各地から職人を集めて隠居城となる物を造ってくれていたのは以前確認した。


その技術者が安土や京の町も整備してくれているという。


「信長様、流石に一度日本に帰ろうかと思いますが」


「うむ・・・・・・そろそろ旅も終わりにするか・・・・・・」


95歳を過ぎた織田信長は流石に老い始めていた。


足腰は弱っていないものの歩けば度々休息が必要になっていた。


「信長様、この先の事を少々考えがあって常陸に居てほしいんですよ」


「ん?常陸に?」


「はい、ほら、いつだか未来に行く方法を考えよって言っていたたじゃないですか?ちょっとだけ可能性があるんですよ」


「ん?どういうことだ?」


「真琴君、あれは流石に直せないわよ」


佳代ちゃんが言う。


「ん~あのタイムマシーンってより、あれに御祖父様がかけた呪法がちょっとね・・・・・・」


「ん?」


「あれいくつかの呪法使っているでしょ?科学と陰陽の融合」


「うん、真琴君の御祖父様が真琴君がいる時間線に行けるようにってかけてはくれたけど」


「陰陽師最高の禁忌たる呪法も入っているんだよ。AMATERASUには。それを俺も使おうかと・・・・・・」


「ん?どういうことだ?」


「それは最後の時が近づいたら説明しますから。成功するかも微妙だしあまり期待をしないでください」


「まぁ~よい、そろそろ頃合いだとは思っていたからな。これを機会に日の本の国に戻るか」


そう言って織田信長は東の海を見ていた。

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