第947話 エクアドル都市キトと伊達兵五郎秀宗
ガラパゴス諸島を出て、伊達政宗が統治する、エクアドル藩の港に入港した。
港で出迎えたのは、支倉常長だった。
「常陸様だけでなく、太上皇様までお越し下されるとは光栄の極み」
「伊達殿はお健やかかか?グアヤキル城か?」
「勿論健在にございます。我が殿は今、キトと呼ばれる町を巡察に行っておられますので、呼びいたします」
「あっ、キトか、なら、そっちに行くよ。むしろ行きたいし」
「そんな、足を運んでいただかなくても」
と、遠慮する中、織田信長は
「うむ、観光だ。むしろ見たい」
と、言う。
支倉常長は護衛の兵士や馬車などをすぐに集め出していた。
都市キトは、エクアドル最高峰コトパクシ山を遠望する地で標高2850メートルと言う高地に作られた都市。
1500年代にはイスパニアに支配され、様々な建築物が壊され南蛮様式の教会などが建てられたが、この世界線では、旧インカ帝国文化も修復再建されている。
赤道直下なのに、標高が高いため常春の地。
住むには良い地だ。
そこに向かう道は港から、石畳が整備されており馬車を進めること二日で到着した。
町近くまで行くと、
「伊達藤次郎政宗が子、兵五郎秀宗、お迎えにあがりました」
と、出迎えてくれた。
伊達家は、日本国の仙台藩は伊達政宗の正室の子、忠宗が後継ぎとなり、エクアドルは長男だが側室の子である秀宗が後継ぎとなるべく伊達政宗と行動を共にしていた。
「案内頼む」
「はっ、父上はこちらです」
と、石畳が引き詰められた町を進んだ。
町はインカ帝国と南蛮文化と日本文化の建築物入り乱れた町になっていた。
インカ帝国の石加工技術で作られているのに、形は日本の天守閣と言うなんとも不思議な建物に案内された。
中は南蛮装飾が飾られているが、所々に石膏作りの萌え美少女が飾られていた。
「父上様、お連れいたしました」
「出迎えもいたさず申し訳ありませんでした。少々人不足で忙しく調整していたもので」
「ん?なんかあったの?」
「え?信琴様から技術の長けた石工職人を常陸藩に貸し出して欲しいと頼まれて、先日、インカ帝国の職人と合わせて送り出した所ですが、ご存じなかったのですか?」
「えっと、オーストラリアから直接来たからなにも聞いていないけど」
「新しい城を建てると聞いていますが?」
「・・・・・・ん~船に戻ったら電信で聞いて見るか・・・・・・まさか、幕府と一戦構える準備・・・・・・?」
「常陸、それはあるまい。城は最早、防衛施設としてはあまり役にはたたぬからな」
と、織田信長は言う。
大砲などの火器が発達し、爆撃も出来る現状では確かに防衛施設としての城は意味が薄い。
信琴は何を始めたのだろうか?
「まぁまぁ、こちらにずんだ餅を用意してありますから」
「ずんだ、またきたーーーーーーーーーー!」
と、伊達政宗自ら作ったずんだ餅を久々に食べた。
初めて食べるヘーブンには不評だった。
「との様 あおまめ くさい」
と、耳打ちをしてきたことは伊達政宗には内緒だ。
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