第934話 森力丸

「上様、御大将、お待ちください。今助けを助けを呼びますから」


落ち着いて休むことは出来るはずもなく、夢でうなれた。


パッと起き上がるとラリが抱きしめて


「だ い じょ う ぶ だ い じょ う ぶ」


と、必死に日本語でなだめようとしていてくれた。


それを静かにゆっくりと肩を掴んで引き離した。


「御大将が死ぬはずがない。きっと大丈夫、そうだ、大丈夫なはずだ」


と、自分に言い聞かせるために口にすると、ラリはにっこりと微笑み『ウンウン』と、頷いていた。


朝食を済ませ一つ前のキャンプ地に着くと、昨日走って行った家臣が、


「南極大陸茨城城には連絡が付きました。すぐに手配するそうです」


と、言ってきた。


「そうか、ご苦労だった。しっかりと休んでくれ」


「茶々の方様よりご命令で、森様を戻らせるなと仰せつかっております。森様もここで待機していただきます」


「茶々の方様は私がしそうな事を読んだか・・・・・・仕方あるまい。あまり動き回っては逆に迷惑をかけるからな。テントを温め、上様方がご到着されたら体を温められるようにしておけ」


と、指示を出し堪えた。


探しに行きたいと言う気持ちを必死に必死にただただ必死に抑えている。


握られた拳から爪が刺さり血が出るほど堪えると、その手をラリは優しく手に取り、さらしを巻いてくれた。


「だ い じょ う ぶ だ い じょ う ぶ」


と、言いながら。


とても良い娘だなとちょっとそのたどたどしい日本語の大丈夫が心を落ち着かせていた。

それは子供の頃兄たちと遊んで、軽いケガをしたとき母が、さらしを巻いてくれたような暖かさだった。


なにを焦っている私は。


御大将を信じよう。きっと大丈夫・・・・・・。


そう心で唱え、来た方角を見ていると、上空に2機の飛行機が飛んでいった。


ちゃんと通信は届いた。


あとは任せるのみ。

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