第931話 遭難ですか?

 遅い、遅い、遅い。


予定では昨日帰ってくるはずなのに上様達が帰ってこない。


くっ、迎えに・・・・・・いや、ここは御大将の指示通りに動かなくては。


「ラリ、一端城に帰るぞ」


と、言うとコクリと頷くが、犬を二頭鎖から外した。


すると、犬は走りだして行ってしまった。


急いでいるというのに犬ぞりの犬を放してしまうとは何を考えているのだ?


しかし、この状況下、怒っているより先ずは行動だ。


二つ前のキャンプ地に行けば、電信を送れる。


急ぐぞ。


・・・・・・一つ前のキャンプ地に着くと、そこを守っていた家臣が、


「いかがなさいました?」


「上様達が予定より遅れている。遭難しているかもしれぬ。すぐに救援を」


「では、ここからは我々が走ります。森様はお休み下さい」


「いや、進むぞ」


と、言うと家臣は犬を見ていた。


犬たちは疲弊しきっていて進める状態ではなかった。


うっ、と堪えるしかない。


「わかった。頼む」


と、命じた。

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