第882話 アナスタシア・リュリークの野望5
「兎に角、突撃潜水艦で黒坂常陸の艦隊を次々に撃沈させなさい」
私は苛立ちを隠せないでいた。
こんなにこんなに力の差・・・・・・。
黒海にやつらの艦隊さえ入れなければクリミア王国は安定し、それに同調して反黒坂の狼煙が各地で上がると思っていたのに・・・・・・。
イスパニア、ポルトガルの国民どころか、ヴァチカンさえ動こうとしない。
くそ、やつの教育政策とはこんなにも厄介なものだとは思っていなかった。
見誤った。
ヌルハチでさえ様子見を始めている。
ここで一度は勝利を見せつけこの形勢不利から脱却しなくては・・・・・・。
なにか手立ては・・・・・・。
「漁師が言うには敵は少数でケルチに向かっているとのこと」
ケルチ・・・・・・この半島の東の要所・・・・・・。
少数?敵はこちらの自爆攻撃を警戒している?少数を少しずつ叩いていくのが良いか・・・・・・。
「ならば、命じる。ケルチに全艦隊を向かわせ、敵を殲滅せよ。敵を沈めず帰ってきた者は命がないと思え」
「はっ、すぐに全艦出撃させます」
ケルチ、要塞として整備中。
急ごしらえだが、砲台もある。
陸と艦隊で挟み撃ちにすれば・・・・・・・。
「ふははははははは、黒坂常陸、恐れるに足りず、ふははははははは」
◇◆五日後◇◆
バッサ
艦隊全滅の知らせを持ってきた兵を殺した。
そう、全滅したのは私の艦隊だった。
ケルチを砲撃すると見せかけた艦隊は柳生宗矩率いる潜水艦隊。
私の艦隊が近づいた所で潜水を始め、逃走。
それだけなら、まだ良かった。
そこに空からの爆弾攻撃・・・・・・。
空から・・・・・・。
慌てふためいているところに黒坂常陸の主力艦隊の砲撃・・・・・・。
艦隊を沈めたところで、ケルチを占領。
東が取られた。
そして、西も前田慶次率いる艦隊の砲撃によって大打撃・・・・・・。
くそ。
「っ、お前達なにをする。私を捕まえてどうしようとするのだ」
私の忠実なる下僕だったはず。
私を裏切るなんて・・・・・・。
あるはずがない、私の力でサキュバスの力で。
「アンカラ、私を助けなさい、どうしたのよ、動きなさい」
そう命じるとアンカラは膝から崩れ落ちて、頭を抱えてギャーギャーと言葉にならない悲鳴をあげて苦しむだけだった。
なにが起きたって言うのよ。
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