第851話 アメフトスのプライド

「御大将、まさか空から命令するなど驚きでしたよ」


と、着水してイズミールの接岸すると柳生宗矩が出迎えた。


「良いだろ、これ」


「う~私はその・・・・・・乗りたくはございませんが」


と、柳生宗矩は言葉を濁していた。

当然だろう、空を飛ぶなどと言う物をそう易々と受け入れられるほうがおかしいのだ。

・・・・・・織田信長は、・・・・・・。


と、真田幸村も、


「私も乗りたくは・・・・・・」


と、苦笑いを浮かべていた。


「まぁ、そうそう何機も作れる物ではございませんから」


と、佳代ちゃんが言うと二人は安堵のため息を漏らしていた。


「で、アメフトス陛下は?」


「はい、大変失礼ですが、座敷牢に幽閉を・・・・・・その皇帝としての自尊心で突撃をなさろうとしていたので」


と、宗矩が言うので、大体を察した。


「仕方あるまい。だが、出て貰え。俺の艦隊ももうすぐ着く。イズミールには攻撃がそうそう出来なくなるからな」


「はっ、かしこまりました」


アメフトス陛下は座敷牢から出ると悔しさと残念と無念と怒りとの、なんとも言えない複雑な表情を宗矩に向けて睨んでいた。


「アメフトス陛下、私は宗矩に陛下の命を守ることを命じました。手荒い手段を取ったことは私が謝ります。許して下さい」


「私は皇帝として戦いたかった」


と、怒りに満ちた目を俺に向けた。


「皇帝として死にたかった。としか、私には聞こえませんが?イスタンブール陥落に続き、このイズミールが包囲されたからと言ってオスマン帝国がすべてなくなったわけではないはず、あなたは旗頭として生きねばならないのです。腹をくくりなさい」


「・・・・・・」


黒海周辺は一気に攻め取られたがそれは意表を突いて敵が勝っただけのこと。

広大なオスマン帝国は戦っていた。

実際まだ、アラビア半島などはオスマン帝国の支配下。


「同盟と言う物はこのような時にあるのではないですか?俺の手を借りることが恥?そんな自尊心捨ててしまいなさい。俺は俺の理解者であるあなたを大切に思っています。だからこそ、兄弟杯も交わした。俺を頼って良いんですよ」


と、言うと、ぶつけられない怒りを床を拳で殴って沈めていた。


「悔しい、悔しい、悔しい・・・・・」


「陛下には少し冷静になっていただく時間が必要なようだ」


と、話しているとムリタファスが現れ


「このようなときは私にお任せ下さい」


と、アメフトス陛下を抱えてムリタファスは部屋に連れて行った。


「では、形勢を立て直す。宗矩、幸村、良いな」


「「はっ」」


地図を広げ、各地に忍ばせている忍びや商人などの情報を集めた。


しばらくすると、お初が率いてくれている艦隊も到着して、イズミールは海からの牽制で敵は後退した。

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