第839話 黒坂琴彦とミコ3

「父上様、ミコを側室に迎えとうございます」


と、毒から回復した琴彦とミコが一緒になって執務室に入ってきた。


「そうか、それはめでたい」


「琴彦、父上様に見習って正室と側室は分け隔てなく接しなければなりませんからね」


と、茶々が言うと、


「はい、勿論わかっております」


と、返事をしていた。


「こんな私を黒坂家の一員にしていただけるなんて、ありがとうございます」


「ミコ、自分を卑下するのはもう止めなさい。琴彦への献身的な看護も見てきた。素直で優しい心を持ったミコは自分自身を過小評価しすぎだぞ」


「そうですわね。私もそう思います」


と、茶々も言うとミコは下を見てしまった。


だが、白い肌の顔が真っ赤に染まっていた。

嬉しいのか、泣きたいかなのだろう。


「真琴様、本当は自分の側室にしたかったのでしょ?」


と、茶々が視線を向けてきたが、


「いや、俺はもう、若い子には俺が描いた衣装を着せて眺めるだけで良いよ」


「うわ、父上様、今度はあれを流行らせるのですか?」


「え?駄目?」


と、言うと、茶々と琴彦は頭を抱え、ミコは笑って、


「義父様が作る可愛い衣装、私大好きですよ」


と、言ってくれた。


ふふふふふっ、良い嫁になりそうだ。

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