第828話 1616年正月

 また、エジプトで年越しをしてしまった。


地平線から昇る初日の出を拝んで、鹿島神宮分社の神社で初詣をする。


織田信長は傷が癒えたため、一度、欧州イバラキ島に戻って行った。


「皆、あけましておめでとう」


と、挨拶をしておせち料理と、お雑煮を食べていると、


「モチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュモチュ・・・・・・」


と、ずっと口を動かしているミコ、


「あっ、ミコさん、餅はおやめなさい。私、死にかけた食べ物ですから」


と、ラララが止めていた。


「あぁ、ラララ、餅駄目だったよね、ミコも無理しないで出して良いから」


と、言うと口から食べ物を出すというのが失礼だとマナーが身についているのだろう、首を振って拒否し、15分噛み続けてようやく飲み込んだ。


「その、飲み込むタイミングがわかりません」


と、ミコが言うとラララも頷いていた。


「餅は慣れた人でもつっかえて事故になる食べ物だから、無理しないで」


と、言う隣で、お江が吸い餅の如く大きな搗き立て餅をお湯に漬けて飲んでいた。


「うっ、お江・・・・・・一緒に長く暮らして来たがそんな特技持っていたのか」


と、額から汗が噴き出した。


「うん、怪我してからやたらお腹空くんだよ、マコ~だから一升餅飲む~」


「おいおいおいおい」


と、みんなが青ざめながら、お江の奇怪な行動に目を丸くしていた。


昔、子供の頃にはニュースとか正月の地域中継番組で見たっけなぁと、懐かしみながらお雑煮を食べた。


お江、詰まらすなよ!などというのはお江にはいらない心配だろう。


ラララとミコはパンに伊達巻きを挟んで食べていた。

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