第827話 ムィロースラヴァ・ミコライフ

 ・・・・・・?


私は遊ばれているの?変な服を着せられて・・・・・・?


ん?違う、なんか側室達や侍女達も変な服を着せられている?


ん?それをみんなが笑いながら楽しんでいる。


常陸様は、それを楽しそうに眺めている。


何だろうこの和気藹々とした感じ・・・・・・。


私の育った地では、このような事なかった。


領主の捨てられた娘と言う私は、腫れ物にでも触るかのように皆が逃げていったのに。


「はははははっ、父上様の変趣味に付き合わされてしまったみたいだね」


と、声をかけてきた青年。


「えっ、えと、どなたで御座いますか?」


「あぁ、ごめん、ごめん、黒坂常陸守の七男・猿田之介琴彦だ、よろしく頼むよ。さて、父上様の暴走を止めないとうちの嫁も変な装束にされてしまう」


と、笑顔を残して消えていった。


格好いい人、良いな~あんな人のお嫁さんになりたいなぁ~・・・・・・。


駄目、私なんかがそんな夢を持ったら。


私は常陸様の側室にならないとならないのだから・・・・・・。


「ミコさん、その植物に触ったらしっかりと手を洗って下さいね。猛毒ですから」


と、畑仕事をしている常陸様の側室、小滝様に注意される。


「猛毒?そのような物をこの畑で作っているのですか?」


「薬と毒は紙一重、使い方、調合次第では薬になるんですよ。だから、私の畑にはそういった植物もあるので十分注意してくださいね」


側室に毒がある植物を育てさせることも許している常陸様・・・・・・。


あなた様はそんなに人を信じれるのですか?


私は・・・・・・。


人なんか信じられない・・・・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る