第824話 ????

「お父様、私なんかが黒坂常陸様の側室になれと言うのですか?」


「そうだ、お前は私の血を引く娘、今までの不遇をわびよう。常陸様の側室となれば良い暮らしは出来るぞ」


「そっ、そんな・・・・・・私はただ作物を育て、羊たちともに暮らし野山で歌える日々が良いのです」


「噂は聞いていないか?常陸様は側室にも仕事を与えているそうだ。なんでも、下女と同じように身分関係なく働きたい者は働いていると聞く、どうだ、そのような方なら嫁いでも良かろう」


「お父様・・・・・・私なんか・・・・・・」


「ロシア帝国のため人質になってくれ、このとおりだ」


「お父様、頭を上げて下さい。故郷のロシアの為になら命をも投げ打てますが、私みたいな貧素な者がよろしいので?」


「あぁ、むしろ常陸様は、そう言う者を好むらしい。なってくれるな?人質に・・・・・・側室に」


「・・・・・・わかりました。私なんかで良かったら、この身を捧げましょう」


「そうか、わかってくれるか。ありがとう」


私はお父様に捨てられた妾の子・・・・・・。


今まで静かに田舎の町で暮らして来たのに・・・・・・。


そんなお父様が突然・・・・・・。


恨みはない、だが親しみもない。


だけど、故郷が危機となれば仕方がない。


でも、私なんかで良いのかな?綺麗な人なら、モスクワ宮殿近くにいっぱいいるはずなのに。


私なんか・・・・・・。

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