第783話 1614年5月
琴彦とオスマン帝国皇帝アメフトスの娘マラティヤの仮祝言を行うなどしている内に、カイロで1614年の5月を迎えてしまった。
・・・・・・ん~もう5月か。
桃信早く帰ってこないかなぁ、異国慣れしていない琴彦だけを置いて帰るのもと、迷っている。
1614年5月ん?ん?ん?あっ!
織田信長1534年5月12日 生まれだから80歳じゃん。
80歳の祝いって確か何かあったな・・・・・・。
60歳還暦
70歳古希
77歳喜寿
80歳傘寿
88歳米寿
90歳卒寿
99歳白寿
100歳紀寿
と、紙に書いてみる。
あっ、やっぱり祝いあるじゃん、傘寿じゃん。
そう言えば織田信長って誕生日会を日本人で始めてやったとか、そんな噂?逸話があったけど俺、一度も祝ってないな。
よし、今年は一緒だから祝うか。
「桜子、料理の準備だ」
と、桜子にケーキを作るように頼む。
もう数々の料理を作り上げている桜子には問題ない。
「どのような物にいたしますか?」
誕生日と言えば丸い白いクリームたっぷり塗ったケーキだ。
だが、それではつまらない。
昭和から平成初頭に流行った特大ウエディングケーキを絵に描き作って貰う。
「料理方をとりまとめまして総出で作らせていただきます」
と、桜子は料理の仕度に入った。
プレゼントは何が良いかな?
・・・・・・。
エジプトで傘寿?
ファラオのような黄金のかぶり物?
いや、今からではあの細かな装飾は間に合わない。
何かないかな・・・・・・。
と、考えていると桃信がオーストラリアからユーカリの木を乗せ帰ってきた。
「父上様、ただいま帰りました」
「お~いよいよだな、ユーカリ緑化計画開始か、成功すると良いな」
と、コアラを抱っこしている桃信に言うと、
「父上様、オーストラリアで甲冑師が父上様にと、甲胄を作ったのですが、いかがでしょうか?」
と、木の箱を差し出してきた。
「ブラックオパールを粉にして漆に混ぜ塗ったとのことで、素晴らしいできかと思いますが」
と、木の箱を開けると
「げっ、げげげ、これは作っちゃ駄目な奴だって」
桃信は欧州マイハマ城と言う、絵図らにすると、舞浜からキツいお咎めがある城を知っている。
信海が俺のイラストから作ってしまった人間化したネズミの仲間達が楽しげな城。
その元となるイラストを桃信が見ていても何ら不思議ではない。
・・・・・・まんま、ダース・ベ●ダーのフルフェイスの甲胄は、ブラックオパールが漆黒の中の七色の光を持つ芸術性が高い兜で胴は南蛮型だが、胸の辺りに宝石をふんだんに使い機械が再現され、肩当は大きく、黒い長いマント。
「素晴らしいが、これはちょっと着れないな。・・・・・・あっ、これを信長様にプレゼントしよう」
「え?皇帝陛下に献上いたすのですか?」
「ちょうど誕生日だし」
と、言うと
「あぁ、異国では誕生した日を祝う文化があるのでしたね。そうですか、まぁ、着用せずとも良い飾りとなりましょうから」
と、桃信も了承した。
よしよし、なんとかプレゼントも用意できたし内緒で誕生日会開いて祝うぞ。
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