第773話 王家の谷

 王家の谷に着くと断崖に所々穴があり、その中で集められた人足達は休息を取っていた。


その多くは盗掘され荒らされた洞窟。


ただ、中には壁画も残っており、文化的価値は高い。


「皆、壁などのは傷を付けるなよ」


と、言うと、柳生宗矩が、


「御大将が欲しいと前田殿や幸村殿が、そのような事もわからぬ者を御大将のもとに送ると思いですか?皆、わかっております」


と、文化財保護がうちの家臣は末端まで徹底されていることを言ってきた。


「しかし、御大将、見回りましたがほとんどというか、全部盗掘されていますよ」


「そうです、父上様、このような谷に何があるというのですか?」


「まあ、そう焦るな。谷の壁に作られた物がすべてではない。この砂に埋もれた所を掘る」


「父上様、広大過ぎます」


「そこは、俺の力で見つける」


「おっ、父上様の陰陽力ですね」


と、桃信と柳生宗矩は納得していたが、少々嘘だ。

大好きなロマンが詰まった墓、それは学生時代、いろいろな文献を読み場所は、ほぼ知っている。

陰陽力頼りではなく、未来の知識頼りだ。

だが、大体の場所しかわからないので、あとは陰陽力を使ってダウジングで探す。

L時状の二本の鉄の棒を両手に持ち、棒に力を流して、おおよその見当をしている辺りを歩く。


歩く、・・・・・・歩く・・・・・・歩く・・・・・・。


ん~見つけられまいとする力が強い。


だが、その力打ち消してくれよう。


俺は、ハワード・カーターになるんだ!


皆が静かに見守る中、一時間以上歩く。


太陽が西に沈みかけながらも・・・・・・。


集中して・・・・・・。


すると、突如としてL時状の二本の鉄の棒が外側に向くどころか、俺の手の上で高速回転しだしていた。


勝った。


「見つかったぞ、ここを明日より掘る。この上に今夜の俺の寝床を作ってくれ」


と指示すると、


「え~マコ~みんなみたいに洞窟で良いじゃん。どうせ、集まった人足達だってマコを出し抜こうなんて思うのもいないんだし~」


「ふははははははははははははははははははは、そんな事はどうでも良い。俺は今、人生で一番と言って良いほど興奮しているんだ。俺はこのツタンカーメンの上で今宵は過ごすぞ~~~~~」


と、興奮から叫ぶと、織田信長がお江の肩を叩いて


「好きにさせてやれ。どれどれ、ツタンカーメン・・・・・・なに、常陸、これは凄い物ではないか」


と、織田信長も電子辞書で調べて興奮していた。


この夜、俺は織田信長と二人でツタンカーメンの墓の入り口で一夜を過ごした。

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