第705話 チート過ぎるヒロインは嫌ですか?

アガリアレプトが消えるのを見てにやりと笑う磯原佳代。


いくら20世紀の拳銃だろうと鉛の弾は鉛でしかなく妖魔を撃ち抜くことは出来ない。


その謎を聞く為、混乱した船上を立て直す指示を出して俺の部屋に磯原佳代を呼び出した。


「佳代ちゃん、どうやって倒したの?」


「愛の力」


と、語尾にハートマークが付きそうな満点の笑顔で答えた。


「それは今は良いから、どうやって倒したの?」


と、もう一度聞くと俺にワルサーP38を渡してきた。


すぐにその理由を感じ取った。


星の御神力、天津甕星

あまつみかぼし

、またの名を星神香香背男

ほしのかがせお


「これって、大甕神社?」


茨城県日立市にある大甕神社に封印されし力を感じた。


「そう、真琴君の御祖父さんがね、時間を超越するなら『この神様の力を使いなさい。そして、守り神として持っていなさい』って力を込めてくれたの」


大甕神社・・・・・・俺の時間線でも超有名映画の隠れ設定の聖地・・・・・・確か同じ監督の映画が2019年夏公開だったはずだけど、見たかったな。


・・・・・・って、それはおいといて、お祖父様、準備万端じゃん。


「お祖父様の陰陽力の付与か、なるほどね。俺の師匠だからこそ出来る技。俺は力を付与して、そのまま保持するのはまだ出来ないや」


と、言いながらワルサーP38を渡した。


すると、船上の混乱を収めてきたお江が磯原佳代に後ろから飛びかかった。


「ありがとう、佳代ちゃん。ありがとう。マコ守ってくれてありがとう」


と、号泣していた。


「私も真琴君を愛する者ですから、礼には及びません」


と、磯原佳代はうっとうしいようでお江を剥がそうとしていた。


この一見で突如として現れた磯原佳代の評価は黒坂家で格段に上がった。


茶々はこのようになることを見抜いていたからこそ、陰陽師補佐役として任命したのかもしれないな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る