第702話 ヴェネツィア上陸戦
アドリア海の海戦に勝利を収めると、ブリュッセルの前田利家軍とボローニャ付近で戦闘をしている前田慶次軍に、
『シングン カイシ セヨ』
と打電。
クロアチア当たりを攻めている石田三成軍と、オスマン帝国にも進軍をするよう伝令を送る。
神聖ローマ帝国を四方から攻め立てる。
ヴェネツィアに兵を集中させないための作戦だ。
旧ローマ法王クレメンス8世を捕らえるのと神聖ローマ帝国の解体、そして、ハプスブルク家の排除。旧体制の根絶。
その戦いに終が見えようとしていた。
「御大将、港が見えます」
と、物見が言う。
地図と照らし合わせると、ヴェネツィアだ。
「艦砲射撃用意」
と、指示を出す。
照準は俺が知るヴェネツィアとはかけ離れた堅牢な壁を持つ城塞港。
造船所らしき物の城門は開かれているのも見える。
しかし、なにか異様だ。
静かすぎる。
「接岸止め。海上停泊。相手の様子をうかがう」
大砲を撃ってこないどころか、人が全く見えない。
嫌な予感がする。
「上陸部隊出しますか?」
と、聞いてくるのを止めさせる。
「祓いたまへ守りたまへ清めたまへ幸与えたまへ鹿島の大神よ力を貸し与えたまへ・・・・・・」
・・・・・・。
黒い禍々しい物を感じた。
「全速後進、ヴェネツィアの港から離脱」
と、命じる。
船が少しずつ離れ始めたときに、突如轟音とともにヴェネツィアに造られた城塞は大爆発を起こした。
押し寄せる爆風と波に船は大きく揺れる。
粉塵で辺りが濃い霧に覆われたかのようになったときに、船首に降り立つ黒い影。
「くわっははははは、くわっははははは、気がついたか黒坂真琴。おびき寄せて港共々木っ端微塵にしてやろうと思っていたのに。流石、我が兄弟、妖狐を倒しただけあるわ」
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