第680話 正室と夫の同級生
「私は黒坂常陸守真琴の正室の茶々と申します。あなたが何者なのかお聞かせいただきましょう」
藤堂高虎が捕縛していた女を茨城城に連れてこさせた。
私の目の前に座る女は髪が畳に着くぐらい長く、透明な眼鏡を掛けている。
服は今まで見たことのない服、体にぴったりと張り付いて黒光りをしている不思議な服を身にまとっている。
真琴様が昔描いていた美少女が着ていた服に似ている。
確かジブラルタル城の鉄朱塗絡繰栄茨万華里温残酷天使門に採用されたとか聞くが。
「あなた様が茶々様?綺麗なお方・・・・・・真琴君が惚れるのもわかるわ」
「ごほん」
「あっ、失礼いたしました。私は磯原佳代、黒坂真琴君の同級生、同じ学校で学んでいた者で友人です・・・・・・35歳・・・・・・未来から来ました」
「やはり未来から?」
「え?信じられます?」
「えぇ、真琴様は近しい人物にだけは自分が未来人であることを言っているので。あなたは真琴様を迎えに来たのですか?」
「迎え?いえ、ただ会いに来ただけです」
「会いに来ただけ?」
「いえ、ハーレム・・・・・・側室の一員に加えて貰おうと」
「迎えに来たわけではないのですか?」
「私が乗ってきたタイムマシーンで未来に向かったとしても今の未来の分岐した線のどれかであって、真琴君がいた時間線に戻れる訳ではありませんから。真琴君がいた時間線限定で戻ると言うことは蜘蛛の糸を掴む、いえ、全世界中の中から一粒の砂を見つけると同じくらい難しいこと。ほぼ、不可能」
・・・・・・時間線の仮説は真琴様が一度説明してくれたけど理解しがたいものだった。
「連れて帰る気がないなら歓迎しますよ」
連れて帰る気が無いなら歓迎する。
側室がまた一人増えたとしても、もうさほど変わらないほど人数がいるので、それは別にかまわない。
「鹿島の神に誓って連れて帰るような事はしません。それに時間跳躍装置が壊れてしまっているので、もう時間跳躍は出来ないので。って、今って1611年なんですよね?真琴君は生きているのですか?時間跳躍のずれ幅が大きくてもう少し前に行くはずだったのに」
「ん?真琴様は生きていますよ。三ヶ月ほど前の連絡は来ていますし、信海も会ってきているので元気なはずです。欧州イバラキ島あたりで」
「欧州イバラキ島?なんですか、それは?」
「ん?未来にはないのですか?この島を真琴様が改名されたのですよ」
世界地図を指さすと磯原佳代は大きく首をひねっていた。
「やはり私のいた時間線とは少しずれているみたい・・・・・・ヨーロッパまで進出していたとは。しかも『欧州イバラキ島』なんてネーミング、真琴君らしいわ。ふふふっ」
「良いでしょう。いろいろと説明してあげます」
「お願いします。ただ、その前に私を信じるのですか?」
「話していて思い出したのですが、私はあなたを見たことがあります。真琴様が持っていたスマートフォンと言う物の中の写真という物の中に、本能寺に来る直前に写した物にあなたにうり二つの物があったと記憶しています」
「17年前の修学旅行の時の写真かも」
「隣に写っていた女性が好きだったと言う話も聞いていますが」
「久慈川萌香・・・・・・ふふふふふっ、わっはははははははははは、私は久慈川萌香に勝ったのよ。私の頭脳で萌香から奪う事が出来る。萌香はもう会えない。だけど、私は会える。そして、やっと処女を捧げられる。脱バージン。やっとよ、このときまで大事にしていたかいがあるのよ」
大丈夫なのかしら、この人?
会わせないこと、抹殺を選んだとしたら間違いなく真琴様はお怒りになる。
連れて帰ると言うことだったら、その怒りを受ける覚悟も出来たのだけれど。
側室になりたいと言うのだから、後の判断は真琴様に任せましょう。
その前に、未来人ならいろいろ知っているかも。
造船やその他の技術、そして、災害の事・・・・・・少し協力して貰いましょう。
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