第640話 欧州統制大将軍

 俺が出撃の準備をしていると、察したのか織田信長がマドリードからジブラルタル城に入城した。


天守に上り二人っきりで話す。


「行くのか?」


「はい、サルデーニャ島を地中海を監視する要塞に致したいので、陥落したなら入りたいんですよ」


「バチカンとすぐ近くだからな。良い場所だ」


と、いつものように俺の書いた地図で地中海を見る織田信長。


「完成して落ち着いたら儂も行くぞ。それまでジブラルタル城を守っていてやる」


「それは後顧の憂いが消えるので有り難いです」


「で、あるか」


「イギリス帝国がもし裏切ったときに、地中海に入るのを阻止して壮絶頂ければ」


「ふっ、あやつらは裏切る余裕はないだろう」


「ん?」


と、疑問の声を出すと織田信長は、地図を扇子で指し示して、


「こことも同盟を結んだからな」


と、アイルランド王国を指していた。


「あ~、そうなると、裏切ればイギリス帝国は東西が敵になるわけですね」


「そう言う事だ。常陸が書いた地図があるからこそ考え付く手立てである」


「褒めてもらえて嬉しいです」


「儂はいつでも褒めているつもりだがな。常陸、後ろを見る必要はない。前だけを見よ。前だけ、未来を見続けるのだ。そして、戦いが我々が世代だけで最後になるように働け」


「結構難しい事ですが、少なくとも宗教対立の芽だけは摘み取ります」


「ん、それでよい。さぁ、行けっとその前に常陸の役職を改める。欧州統制大将軍の役職を追加する」


「ん~追加ですか?」


「そうだ追加だ、長い役職名が好きなのであろう?なら、従二位右大臣・欧州統制大将軍兼豪州統制大将軍・インカ帝国執政・安土幕府副将軍・造幣方奉行兼安土暦奉行兼南蛮交易総取締役奉行・常陸守だ」


「信長様、良く覚えてますね?」


「はははははっ」


「いや、笑い事じゃなく、凄い記憶力だと感心しますよ」


と、言うと信長は鉄扇子を広げ手渡してきた。


そこにはカンニングペーパーのように従二位右大臣・欧州統制大将軍兼豪州統制大将軍・インカ帝国執政・安土幕府副将軍・造幣方奉行兼安土暦奉行兼南蛮交易総取締役奉行・常陸守と書かれていた。


お茶目な信長だった。


それと一緒に、一振の太刀をくれた。


「村正だ、良く斬れるぞ、使え」


「ありがとうございます」


と、受け取る・・・・・・げっ、妖刀か?あとでちゃんと確認しないと。


「一つ、造幣方奉行として世界経済を牛耳るのに、お金の造幣に力を入れてください。今の日本国の支配権なら間違いなく牛耳ることが出来ます。これはかなり大きい事」


平成のアメリカドルを目指す。


「なるほどな、やろう」


経済の重要性をよく知る織田信長は納得してくれた。


俺はあとのことを織田信長とお初に任せ、戦艦・伊弉冉尊に乗船して出撃した。

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