第568話 1606年元日

「ははははは、年明けがまさかこんなになるとはな」


1606年の初日の出をみんなで拝んで、当然餅はなく塩味のシンプルな魚汁を食べていると、


「御主人様、そのですね、申しあげにくいのですが、そろそろ皆の健康具合を考えますとですね」


と、小滝が小さな声で行ってきた。


すると、桜子も頷く。


桜子は料理を小滝は医学知識でみんなの健康管理を任せている。


海の幸だけでは栄養が偏るのを缶詰めでカバーしてきたが、その缶詰めもそこがつきた。


栄養失調、脚気、貧血。


うちの船には女性兵士も多く乗る為、貧血気味になりつつある。


鉄鍋で煮込む料理だけではやはり限界もある。


海獣の内臓を生で食べればビタミン補給が出来るのは知っており、食べられる者には食べさせているが、拒否する者が多い。


実は俺も苦手だ。


ちゃんと血抜きして、ゴマ油などをかけ、生卵を乗せればユッケとして美味しくいただけるかもしれないが。


それでも、大将である俺が体を壊すのは避けたいので我慢して食べる。


そんな遭難生活が続いた。


だが、


「もう少しの辛抱だと思うのだけどな」


「桜子、小滝、真琴様の陰陽の力を信じようではありませんか」


と、お初が言うと、


「しかしですね、このままでは犠牲が出ます」


と、珍しく声を荒げる桜子、


「初姉上様も、桜子ちゃんも喧嘩しちゃだめ」


と、お江が止めに入る。


「ですが、お江様、気の病にもなりかけている者も出てきているので」


と、小滝が言う。


「流石に孤島での生活は限界点か」


「大丈夫、マコは凛々しくドンと構えて」


と、話し合っていると


「御大将なにやら西の水平線のかなたに煙が見えますが」


と、真田幸村が報告してきた。


「幸村、もはや残す必要はない、ありったけ流木を燃やせ、火を煙を出せ」


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