第557話 インカ帝国と銅像

 マチュピチュからインカ帝国首都クスコに戻ると、皇帝であり側室であるファナは不満げな顔をして出迎えた。


「なぜ? 神格化 いけないですか?」


マチュピチュで発布した俺の神格化を禁止する法度に不満げ。


「いや、俺はごくごく普通の人間なんだから止めて。そして、俺は一応は織田信長の下に位置しているんだから、信長様を差し置いて神格化はないから」


「なら 織田信長様も崇拝 いたして」


いや、織田信長はそれは喜びそうだ。


安土城に「儂と思って拝め」って石置いたり、「天主」なんて住居に住むのだから。だが、


「尊敬なら良いけど崇拝はやめて、絶対に保守系の反発を受けるから」


「ホシュケイ?」


「古来からの信仰を大切に重んじる人々の反発が出てくるから、国を一つにまとめあげないとならないときに、そんな事で内紛が起きたら意味がないでしょ?」


「しかし、イスパニア帝国から解放し国を復興支援いたしてくれてる父上様を皆は崇拝しております」


須佐の言葉にファナも頷いく。


「カヤオ港の銅像はもうあきらめるけど、大西洋側の銅像は俺がデザインするから」


と、言うと後ろから熱い視線を感じた。


期待感を膨らませている、お江。


反対に、いつものあれはやらせないぞ!っと鋭い眼光のお初。


「真琴様、なにを描くおつもりですか?」


「わかってるから、お初、そう睨むな。もうそろそろ寛大になってくれよ。んな、国をあげて奉るような物にまで美少女うんぬんかんぬん言わないから」


額に汗を滲ませながら言うと、


お江は残念そうにしていた。


お初の厳しい監視のもと大西洋側の銅像を和式愛闇幡型甲冑から違う物に変更させるために、新たな一枚の絵を真面目に書いた。


「まぁ、良いでしょう」


そう言う、お初は美術の先生みたいだな。


その絵をファナに渡して変更を頼んだ。


ファナとそして、お江は残念そうにしていたが、今回は萌はやらない。


なんせ平成時代に、キリスト像が鎮座する丘に設置する像なのだから。


それに個人をモチーフにした像は体制が変わると悲惨な末路になるのをニュースで良く見ていた。


平成にはアラブの春などでそういったニュースが良く放送されていたから覚えている。


俺、もしくは織田信長、その像が倒される未来を想像したくないと言う理由も一つある。


なので、一個人限定にしない物にする。


ファナは不満げにだがしぶしぶと家臣に作り替えるように命じていた。

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