第525話 領内巡察・御岩神社・萌門?

 俺が信仰している神社が日立にある。


それは御岩神社だ。


平成時代、パワースポットとして有名になる神社。


縄文時代から、この地で祭司が行われていた祭司遺跡も発掘されており由緒正しいと言うか、古い歴史を持つ神社。


と、ある女優が参拝してブログに書くのだが、その女優は程なくして人気アイドルグループの優しい顔立ちで人気のメンバーと結婚したり、正月に毎年渋い俳優さんが参拝しました。と、ツイートする神社なのだが、『都市伝説・御岩神社』と、検索するとまことしやかな都市伝説が出てくる。


それは、宇宙飛行士が宇宙ステーションから不思議な光の柱を見たという物だ。


地球に帰還して気になった宇宙飛行士は座標を調べたところ、この御岩神社で、参拝してみると御神体の山に不思議な岩の柱がありそこからパワーを感じたとか言う場所だ。


勿論、都市伝説で真相など不明な話しだが、史実歴史時代線では水戸黄門で有名な徳川光圀が『大日本史』を始めるのに成功を祈願している神社で、平成時代山の中にその時祈願した祠がポツンとまるで人気ゲームの回復場所みたいに存在したりする。


御神体の山は険しく山伏が修行に使ったなどとも言われており、俺も陰陽師としての修行で度々祖父に連れられて山を走り込んだ。


この御岩神社188柱と言うとてつもない神が祀られており、また平成時代でも神仏合祀が色濃く残る。


俺はこの神社も保護している。


以前、茶々が作った『御祓い済み御神酒・黒坂シリーズ』の御岩神社版の売り上げの一部を神社の発展に使っている。


その為、平成時代より建物は多く山の奥だというのに賑わいのある神社になっている。


日立の鉱山発掘も近くでしているため海からその神社まで進む道も綺麗に整備されている。


その神社にお初と手勢10人だけを連れひっそりと参拝する。


「お忍びですね」


と、神主が気を利かせて小声で話しかけてきた。


「ははは、流石にわかりますよね」


「はい、勿論にございます」


「良い発展をしているようで何より」


と、俺が言うと、お初が、


「これぞ神社のあるべき姿よね」


と、言っている。


なぜか?


そうだ、笠間稲荷神社・美少女萌狐朱塗山門や、門や神殿の飾りをよくよく見ると、神獣の中に美少女化した麒麟・朱雀・白虎・青龍・獅子や十二支が隠れている鹿島神宮のように萌えがない。


日本古来の神社らしい神社だ。


「萌え門寄進したいな」


と、つぶやくと。


「駄目です」


「駄目か?」


「駄目です」


と、お初がしかめっ面をして言ってくる。


そのやりとりを神主は笑ってみていた。


「ははははは、笠間稲荷の門は私も見ております。立派で良いですよね。楽しげで」


「だろ?良いだろ?」


と、言うと、お初は、


「駄目です。良き静かな味わいを残すべきなのです」


と、反発する。


まあ、何でもかんでも萌え化するのもと言う考えはわからなくはない。


「静かな味わいな。それは確かに大切だ」


「はい。百花繚乱の神社も悪いとは言いませんが、静寂な山を静かな心で祀るのも悪くないはずです」


「一理ある。仕方がない。ここは俺は手出しはしないか」


「その方が良いと思います」


「神主殿、萌え門の寄進はしませんが、なにか手助けが必要なときはおっしゃってください」


「右府様、ありがとうございます」


御岩神社の萌え化は諦め静かに山を下った。

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