第472話 サン・ヴィセンテ岬占領戦
ポルトガルの西端の岬、ジブラルタル湾入り口と言う重要拠点にサン・ヴィセンテ岬と言う岬がある。
ヨーロッパ大陸最初の占領地と目をつけた土地だ。
1601年2月5日
その岬が見えてくる。
岬そのものは犬吠埼の岬のように断崖絶壁。
しかも、相手も攻められることを想定して砲台のある小さな砦を石垣で作っている最中だった。
「占領戦を開始する。不動明王、摩利支天、毘沙門天、砲撃開始。相手の砲台を破壊した後、Champion of the sea HITACHI号小隊南より上陸戦開始、Champion of the sea TSUKUBA号小隊北より上陸戦開始、Champion of the sea KASHIMA号はジブラルタル海峡から出てくる敵船団に備えよ」
蒲生氏郷は望遠鏡で見えるギリギリの後方で待機させた。
不動明王、摩利支天、毘沙門天の砲撃で相手の大砲は30分もしないうちに破壊された。
そして、上陸戦もリボルバー式歩兵銃によりあっけなく敵兵団は降伏した。
捕虜になる大将にイギリス海軍提督フランシス・ドレークと名乗る者がいた。
↓イギリス語
「殺せ、このような辱めを受けるとは・・・・・・」
訛り?少々平成とは違う英語だったがなんとなく聞ける。
そして、俺も多少なり話せる。
↓イギリス語
「フランシス・ドレーク、日本国外交を任されている右大臣黒坂常陸守真琴である。貴様を解放する。イギリスに戻りこの戦闘を報告せよ。日本国の敵はイスパニアでありイギリスではなし。今日の惨敗を正確に伝え、日本国は不可侵条約を結ぶつもりがあるとエリザベス女王に伝えよ。もはや造船し我が軍と戦う力はないであろう。話し合いをしても良いとな」
俺がスラスラとイギリス語を話す物だからフランシス・ドレークやその他の捕虜だけでなく俺の家臣達も驚いていた。
うん、英検準2級だったから。
↓イギリス語
「確かに、先の海戦で多くの船を失いもはや地上戦しか勝因はなかったのだが、まさかこのように鉄砲の連発までする軍隊だったとは・・・・・・エリザベス女王陛下には右大臣様のメッセージをそのままお伝えいたします」
軍のトップなだけあり、戦力の差の分析は的確であった。
↓イギリス語
「イスパニア帝国を盟主とした、対日本国戦略同盟からは離脱する事を約束いたします」
そう言うフランシス・ドレークは他の港で停泊していた商船に乗りイギリスに帰国した。
サン・ヴィセンテ岬占領戦終了後、高速輸送連絡船に積んであるアームストロング砲を急ごしらえの砲台に20門設置し、また戦闘主軸艦にも武器弾薬を補給した後、蒲生氏郷を指揮官とした輸送船艦隊はマイアミ城に補給に戻った。
その艦隊が戻るまで、サン・ヴィセンテ岬の城塞化とジブラルタル湾入り口封鎖作戦を実行した。
陸上からの攻撃は偵察隊を相手の射撃射程距離より遠くから射撃することで陸軍は近づけないでいた。
真田幸村指示で、土塁と空堀が複雑に作られていく。
時間がたてば立つほど防衛力は完璧になっていく。
しかし、無理はしない。
圧倒的火力があろうともこちらの兵数は少なく、攻めるとなると不利な点が多い。
こちらは海上からの艦砲射撃出来る範囲が望ましいからだ。
補給路の確保が出来てから再び進軍する。
それが定石だ。
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