第453話 新黒坂水軍艦隊
桜の花が咲き始める頃、蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦の武甕槌と動型艦の四隻が完成した。
常陸国の総力をあげて作った船だ。
新黒坂水軍艦隊。
旗艦・武甕槌・船長・真田幸村
二番艦・不動明王・船長・柳生宗矩
三番艦・摩利支天・船長・前田慶次
四番艦・毘沙門天・船長・真壁氏幹
ん?一隻余っている?それはそれだ。
考えがある。
仮船長・佐々木小次郎とする。
五隻は試験航行に伊豆大島までの往復を繰り替えさせる。
冬の荒れる波にもかかわらず、伊豆大島まで問題ない航行。
煙を勢いよく出す。
最後の試験航行に、茶々と武丸も同行させる。
「ひさびさの海、気持ちいいです」
と、いつも留守ばかり任せている茶々が大海原を見ながら言っている。
「すまぬな、大仕事が終われば皆でゆっくり観光で世界を回りたいな」
「その日を楽しみにしています」
武丸は大海原を楽しむ余裕はなく、船酔いで苦しんでいた。
「おぇ~」
背中をさすってやりながら、
「俺も昔は船酔い酷かったからわかるよ。しかし、黒坂の名を継ぐからには海の男になってくれ、海を制覇し世界平和の守護者になるのを黒坂に生まれた運命と思え」
「おぇ~、父上様、今、そのような事を言われましても、おぇ~」
余裕はないようだ。
「とにかく、船には慣れろ、まだまだ、蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦は作り続けるからな」
「は、はい、おぇ~」
ん~、揺れの少ない船も考えるか。
今回はこの蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦は世界の度肝を抜くだろうが、さらに上を目指した船も必要だ。
俺の知識では飛行機は造れるかどうか怪しい。
なら、しばらくは船が最強の主力な乗り物なはず、どんどん改良を加えて行かなければ世界一を保てない。
二位じゃ駄目なんですか?などと、ふざけた事を言う国益を考えない国会議員もいたが二位じゃ駄目なんだ。
それが世界を制覇しようとしている者なら当然の考え。
世界の覇者になると言う事はそういう事だ。
大島で一泊したのちに再び鹿島港に帰港した。
武丸にとっては辛い船旅になってしまった。
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