第430話 コロン港城の年明け

1599年1月1日


コロン港からカリブ海に上る初日の出に手を合わせる。


元旦の恒例にお初、お江、ラララも手を合わせている。


ファナはグアヤキル城で育児に励み桜子と小滝が補佐してくれている。


まだまだ、安定していないインカ帝国にファナと須佐を残すのには不安があったので仕方がない。


インカ帝国の地上戦は伊達政宗に一任し、俺は新たな戦場となるカリブ海の初日の出に戦勝祈願を願う。


初戦のバランキージャ港奇襲を行ったあと、カリブ海の波に慣れるために何度か港を出ているが、敵船に出会さないと言う静けさが不気味だった。


必ずコロン港を攻めて来ると見ていたのだがその気配も感じない静かなカリブ海の真っ青な波。


朝焼けに照らされる俺の艦隊はその御来光に浄められているかのように黒鉄が光っている。


兵士たちも交代で三が日は休みにしながら、真田幸村と真壁氏幹と次の攻略予定地をうろ覚えのカリブ海の島の配置を書いて示す。


流石にカリブ海をはっきりと覚えているほどではなく、キューバとドミニカがどっちがどっちだかわからないが、名前はさほど重要ではなく、カリブ海から大西洋に面している島を取ることを優先させたい。


カリブ海の制海権を抑えるべく準備を整える。


若干心許ない戦艦数に不安はあるが、森蘭丸は北アメリカ大陸戦に突入してしまったためこれ以上の戦艦陸送は出来ない。


頼みの綱は、日本に送った高速輸送連絡船が応援を連れてきてくれる事なのだが静かすぎるカリブ海に心がざわつく。


敵国が軍備を整えているのではと。


「御大将、敵が準備が整う前に先手を打ちましょう」


と、真壁氏幹に真田幸村は、


「相手を挑発してはコロン港に戻りアームストロング砲で砲撃を」


と、なんとも真田幸村らしい作戦を言ってきた。


「だがな、その挑発する相手も見えないと言う少し不気味な静けさが気になる。ここは攻め込んで島を取ろう」


「御大将がそう言うなら」


と、幸村は何も言わなかった。


1月8日、コロン港の守護代にお江を任命して出撃した。


「目指すは大西洋側の大きな島、いざ出陣!」


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