第394話 プルルンパ大王

「お~これが我が娘達の夫、我が娘婿か、なかなかの面をしておるではんがな」


流暢過ぎる日本語を話すプルルンパ。 


「御主人様、これが私の父プルルンパですです」


と、ラララ。


「あっ、はじめまして右大臣豪州統制大将軍平朝臣黒坂常陸守真琴です」


「なが、ながい~、そんなの覚えられないでんがなまんがな」


誰だよ、日本語教えたの?


「クロちゃんで良いよね?」


「やめて、クロちゃんはやめて、なんかゲスッぽいからやめて下さい」


「父上様、皆様は常陸様などと呼んでおりますがですです」


「なら、ひたっちゃん?」


「軽、なんか凄い軽い、義理の息子なので名前呼びで良いですから『真琴』と、呼んで下さい」


「そうか?なら、我が娘婿、真琴よ、よく来た、歓迎しまっせ~」


くぅ~外見はダンディー高田●次なのに誰が関西弁教えたんだよ。


日本語教える人はちょっと人選が必要な気がする。


ラララとリリリの当初の日本語のひどさを思い出す。


「日本語、上手いですね?」


「なんせ、商売で大阪商人とやりとりしまっけんな~」


なるほど、商人とのやりとりで覚えてしまったのか、仕方がないな。


大阪には、織田信長の海外への拠点があるので貿易の要になっている。


うちの出入り商人、今井宗久も代替わりし二代目今井宗久になったが、店はどんどん繁盛するばかりだ。


家で作った反物や陶器を海外に輸出して儲かっている。


まぁ、家もちゃんと売り上げは貰っているから文句はない。


「ほな、飯でも食いまっか~」


明石●さんまさんですか?べたすぎる関西弁と日焼けしたカッコイいダンディー●田純次がミスマッチ過ぎてなんか馴染めない。


案内された高床式の風通しの良い住居で料理のもてなしを受けた。


本場のバナナの葉で巻いて蒸した料理は美味い。


味は塩が基本なのだが、バナナの葉の香りが付いて味になっている。


「あっ、美味しい」


お初達も喜んで食べている、飲み物にはココナッツのジュース。


ココナッツは若さを保つためには良いのだぞと、お初達に教えるとやたら飲んでいるが、ん?ココナッツの中身の液体より白い果肉部分から作る?搾るオイルが体に良いのではなかったかな?自分自身のあやふやな知識が残念だ。


「真琴、東の大陸目指すんでっか?」


ハワイから見ればアメリカ大陸は東になる。


「はい、東の大陸のイスパニアの拠点を攻め込むつもり。東の大陸で虐げられ滅びの道を歩もうとしている者達を助けたいと」


「ほな、良き者がおりまんがな、おい、ファナはおらんか?」


「ハイ ボクですか? ナンデスカ?ナンなんですか?」


そこに現れたのは二十代前半くらいで背は170センチくらいの髪の短い青年?色黒ではあるが、日本人系統に近い顔立ちで親近感が湧く。


青いアロハシャツが良く似合い、白い歯がまるでハワイの砂浜のようで眩しい。


関西方面に聖地がある、劇団の男役の王子のようだ。


「真琴、この者は海流で流されてきたファナ・ピルコワコ、東の大陸に連れて帰ってやってはくれまっか?」


「えぇ、別に構いませんし、むしろ歓迎しますよ。現地の言葉を教えてくれますか?」


「ボク 帰れるナら ソノくらいのこと モチロン しますよ」


「なら、よろしく頼む」


「ハイ」


と、キラキラした笑顔がハワイの日差しのせいか眩しく見えた。


ハワイ島で思わぬ拾い者。


アメリカ大陸の言葉がわかる者が仲間になるとは有り難い。


ファナ・ピルコワコと言う名が少し気になる。


どこかで聞いたような?


気のせいだろう。


俺達は一泊、ハワイ島でプルルンパ大王のもてなしを受けた。


夜の宴では期待していたハワイアンダンスではなく、屈強な筋肉隆々の男達によるファイヤーダンスだった。


なんで、美少女のハワイアンダンスは見れないんだよ。


涙していると、


「御主人様、煙りが目に滲みますか?ですか?」


「うん、ラララ、うん、そんな所だよ」


お初が気が付いているみたいで険しい視線を送ってきたので正直には言わないで我慢した。


次の日にはラナイ島城に戻った。




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