第324話 萌美少女掛け軸

 執務の合間を見て茶々にお茶を入れて貰おうと、茶々のいる部屋に行くと俺が今まで書いていた平成時代のラノベヒロイン達の絵が表装され、掛け軸となった物を広げていた。


「あ~城の飾りにと思って書いた下絵だね、表装したんだ?」


「はい、不本意で理解出来ない美的感覚の絵ですが捨てるのはもったいないかと思って掛け軸にいたしましたが、数が多くて整理していました」


と、100本は有ろうかと言う萌絵美少女掛け軸。


ラ○、レ○、エミ○ア、西○みほ、○住まほ、斧乃○余接、戦場ヶ○ひたぎ、阿良○木火憐、阿良々○月火、八○寺真宵、小鳥遊○花、凸守○苗、くみん先輩、澤村・ス○ンサー・英○々、加○恵、霞ヶ丘○羽、などなど名前をあげればきりがないほどのヒロイン達は俺が墨絵で書いたものだ。


それを渋い顔をしながら整理している茶々。


「これを人にあげてもよろしいですか?」


「え?別にかまわないよ、欲しがる人いるの?」


別に俺が書いた絵だから問題ないだろうが欲しがる人がいるほうが謎だ。


「ほら、この間、萌陶器を送ったではないですか。そしたら前田利家殿の御子息、利長殿の手に渡ったらしくて大変気に入ったとの手紙と御礼の茶器が届きましてね、是非ともこのような品があるなら譲って貰えないか?って来たのですよ」


「ぬほ、おーこのヒロイン達の良さをわかってくれる人がいたとは、もうそれ全部あげちゃって良いから」


と、喜んで言うと茶々は俺に目を細めて大丈夫なのか?この夫は?と言おうとしている目で見てきた。


「そうですか?なら、贈りますね」


前田利家の嫡男、前田利長って金沢の文化度を上げた人だったような?


まぁ、利長に送った所で何も変わらないだろうけど欲しがる人がいるならあげよう。


布教活動だ。


茶々はその掛け軸を桐の箱にひとまとめに入れて、義康に前田利長宛てに送るように指示していた。


このあと、茶々が入れてくれたお茶はいつもよりも各段に不味かった。

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