第313話 第二弾樺太開発その2

 樺太城に向かわず、幸村と田畑開発を先に進める。


北の大地の活動出来る期間は短い。


俺が寒がりと言う理由だけでなく、大地が凍れば開墾は出来なくなる。


幸村とはすでに打ち合わせ済みだ。


1 田畑を土塁、もしくは石垣、もしくは木板で囲う

 風除けだ。作物を風から守る。


2 溜め池を作る・田畑に引く水路に黒い石、または炭を敷く

 これは農業用水を日光の力で温める。

 海外の寒冷高地でこの応用で、米を稔らせた日本人を見た事がある。          

 あの国民的人気の土曜の夜のクイズ番組で得た知識を活用する。

 水は一度温めれば冷えにくいと言う性質を利用する。


3 温泉を引く

 もちろん、温泉は農業には使えない。

 塩分や酸が強かったりアルカリ性が強かったりする。

 温泉の熱を利用する。

 今回は木管を利用するが、少しずつ石管に換えていく。

 これを地中に埋めてその上に土を乗せる。

 そこで作物を作る。

 もちろん、水路の脇をこの管を通す事で水も温める。


今回は、この3つの策で試作農業を開始する。


作業を開始すると、慌てて北条氏規と板部岡江雪斎が来た。


「常陸右府様自ら御働きになるとは、私達も働きます。なんなりと指示してください」


「では、石垣積みを頼むかな」


「はい、喜んでやらせていただきます」


北条の家臣総勢4万で一気に作業は進む。


小分けにした畑で出来た所から、蕎麦、じゃがいも、とうもろこし、稗、粟、トマトを植えていく。


今年はなにかしらの収穫をしたい。


今回も出来るだけ食料は積んでは来たが、自給自足が出来なければ統治するのだから意味がない。


1ヶ月、農政改革に集中する。


ん~、あれ?これだけ派手に働いてるのにトゥルックが現れない。


なぜなんだろうか?


気になる。


気になる。


気になる。


「あー、も、そのトゥルックとか言う女が気になるならちゃんとそう言いなさいよ!うじうじしてる真琴様のが嫌い、見てきなさい」


と、田畑でぼーっと夕焼けを見ていたらお初はそう言って背中を叩いてくれた。


「おっ、おう。ありがとう」


「側室を許したわけではないんだからね。大切な友人なんでしょう?こちらに来て一ヶ月もいるのに現れないって私も気になるから、行きなさいよね」


次の日、俺は手勢を率いてトゥルックの村に足を運んだ。


そこには、変わり果てた姿のトゥルックがいた。

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