第289話 美少女抱き枕

 俺はひさびさの陸の揺れのない感触と、だけど三半規管に残る揺れの錯覚、そして温泉と酒で気持ち良くなり深い眠りに入っていた。


夢・・・・・・?


「失礼します」


「おっおう」


「常陸様、その布団に入って良いですか?」


「・・・・・・眠い、好きにしてくれ・・・・・・寝かせてくれ・・・・・・」


俺は夢か現実化わからない返事をするとまた意識は真っ暗胃世界に戻った。


暖かい何かを抱きしめながら良い香りも感じる夢を見ている。


心地よい。


と、突然。


ケチョカイケチョカイケチョカイケチョカイヘソカイィィィィィィヨーーーーーーーーーーーーーー


と、臍がないはずの鳥のけたたましい臍が痒いと言うアピールをする謎の鳥の鳴き声で目を覚ますと隣にはスッポンポンの美少女が


「え?・・・・・・」


慌てて布団をめくると俺の下もスッポンポン。


「あれ?したっけ?って誰だっけ?」


と、困惑していると布団をはぎ取ったせいで寒いのか身をブルっと震わせ目を覚ます美少女は、慌てて布団で身を隠した。


「常陸様、おはようございます」


と、俺の目を見ながらも恥ずかしそうに言う美少女。


「あれ?氏規殿の娘では?」


「そうです、鶴美にございます。昨日は気持ちよかったです」


と、言う。


俺は覚えていない?


「おれヤッタっけ?」


と聞いたところで廊下から涼しい風が吹いてきたのでそちらを見ると、お江、小糸、小滝が縦に並んで隙間から覗いてた。


「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、びっくりした、来てたのか?」


と聞くと襖は開きお江が


「お邪魔しちゃったね。宗矩君にもう安全だから移って良いよって言われて来たのに、ちょっと目を離しただけでもう女の子と一緒に寝てるってすごい特技だと思うよ」


と、言う。


「いやいやいやいや、俺してないよね?」


と、鶴美に聞くと、


「はい、裸になって常陸様の褌までは外したのですが、常陸様そのまま寝ちゃっててなにも、ただ、人と裸で抱き合って寝るって気持ちいいですね」


と言う。


「なんで、入ってきたの?」


と、俺が言うと、


「それを女に言わせますか?昨夜の夕食の時に父上が「どうですか?」と聞いたではないですか、そしたら常陸様は「良いですね」と答えられたので、私を側室にしていただけると思いましたのに、子種はいただけず悲しいございます」


と、顔を布団で隠してしまう。


「あれ、料理の事だと思っていたんだけど・・・・・・」


と、俺も困惑。


「責任取らなくちゃ駄目だよ、マコ~」


と、苦笑いをしながら言うお江はあきれている様子。


小糸と小滝は手拭いを引きちぎりそうに引っ張りながら噛んでいた。


「とにかく、氏規殿と話してからな」


朝食のあと氏規と話すと、北条が完全に敵対の意思がないことを示すのに娘を側室に差し出したいと正式に申し入れを受けた。


俺は、平成時代持っていた萌え萌え美少女抱き枕のごとく裸で抱きながら寝てしまっていた手前断ることはできず、側室として迎え入れることを了承した。


うん、側室、何人になるのだろうか俺・・・・・・。

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