第283話 樺太へ船旅
仙台港を出港して、太平洋を北上する。
天気は夏の太平洋高気圧のおかげか晴天の日が続き、順調に北上。
下北半島の北端の大間港で補給をし、津軽海峡から日本海に抜け北上する。
先に出発している北条氏規が先立つになり、俺が通過することは各港に連絡が回っており順調に進む。
ただ、伊達政宗は船酔いで寝込んでいた。
あまり体は丈夫ではないのね?
俺は流石に船旅には慣れているので平気。
「政宗殿、大丈夫か?」
「はい、うっぷ、これが、うっぷ、船旅、うっぷ、おぇ~」
っとしている。
伊達男も台無しだ。
お江は相変わらず、船旅を楽しみ良く外を眺めては
「マコ~なんかいるよ、小糸ちゃんも小滝ちゃんもあれ見てー」
っと指差す先にはトドなのか?オットセイなのか?アザラシなのか?が、海面から顔を出していた。
お江は船旅を楽しみ、小糸と小滝は船酔いに苦しめられていた。
10日間の船旅でやっと目的の地、樺太が見え始めた。
北条氏規が残した水先案内人が、
「着きました。着きましたぞ~」
と、船首で叫んでいた。
その地は樺太の南部、亜庭湾の留多加と名付けられたら港だった。
港は安宅船が6隻停泊し、港には丸太の気組みで組まれた簡素な櫓が建っている程度だった。
俺の艦隊が見えたのか法螺貝が鳴り響くのが聞こえている。
「政宗殿、着きましたよ」
横たわっていた政宗に声をかけると、政宗は起きて船首の先端に立つ。
よろよろしている政宗のその腰を鬼庭綱元ががっしり掴んで抑えている。
その光景に、俺の頭の中では、あの最高級旅客船沈没映画の音楽が和楽器で鳴っていた。
萌えない。
以前にも、徳川家康と本多忠勝で見たような光景に、樺太と言う平成時代歴史線でロシアでもない日本でもない、微妙な地に辿り着いたと言う感激を打ち消していた。
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