第262話 信長の気遣い

 俺達は帰るべく大阪城の港に行くと、港では既に信長が働いていた。  


船の修繕作業をやらを指揮している。


大阪城は造船所や大砲製造所も兼ねていて、その区画は限られた者しか入れないわけだが、それは俺の未来の知識で造られる数々の兵器を秘密にするためで当然俺はフリーパス。

 

KINGU・OF・JIPANGU・Ⅱ号近くにいる信長に帰郷の挨拶に行く。


「信長様、常陸に帰りますね」


「おっ、そうか、ならこれを持って行け」


と、まだ熟していないバナナやパイナップル、それと何やら植物の種を受け取る。


「この種は?」


と、種が気になり聞くと、


「南蛮人から観賞用に手に入れた、茶室に飾るつもりだ。赤い丸く綺麗な実が夏に実る、綺麗だぞ、飾っておけ」


と、言う。


まぁ、育ててみるしかなさそうだ。


「ありがとうございます。そうだ、海外交易を活発化出来ているなら是非とも良質の鉄鉱石を買い付けて下さい。今、常陸に大きな新たな仕組みのたたらを建設予定なのでお役に立つかと」


「そうか、わかった、常陸に送ろう。しかし、常陸が生きた時代もこの様に船で幾日もかけて異国に行くのか?」


と、信長


「船は移動手段と言うよりは輸送手段ですね、流石に風任せではなく絡繰りで造られたエンジン、風が無くても進む為の動力があり船を走らせます。移動手段としては飛行機と呼ばれる空を飛ぶ船が作られ、世界をほぼ1日で移動できるようにはなります」


と、言うと信長は空で飛ぶ海鳥を見ながら、


「そうか、船は空を飛ぶのか、信じられないが凄いものだな」


「はい、地球の外すら行って月にすら人間は足跡を付けますから」


「月にか?はははははっ、それは夢物語であろう?」


「いや、本当なんですよ。ロケット・スペースシャトルなどと呼ばれる乗り物により俺が生まれる前に月に人は行きましたし、俺の時代では火星と呼ばれる太陽の周りを地球と同じく回る惑星にどうやって行こうか研究されていましたから、火星に移住しようなどと研究されていました」


と、俺が真面目に言うと信長は空を見上げて遠く遠くを見ていた。


「月には行けはしないだろうが、その船が風任せでないのは実現出来ないか?」


「蒸気機関と呼ばれる物が、実用される最初の動力なんですが流石に・・・・・・基本的な原理はわかってはいるので試してはみるつもりですが、時間はかかりますよ」


「そうか、儂が生きてる間にできなくても良い、その技術が世界に先駆けて手に入れられるなら日本は間違いなく世界を制覇する、励め」


「はい、わかってます。それより、気になったのですが、リリリの言葉って誰が教えたんですか?」


「ん?あれか?あれは船に乗っていた兵で常陸国出身の者に教えさせたのだがな、常陸の側室にするつもりで気を使ったのだが、変になってしまったな、すまぬ」


「可愛さ半減ですよ、あれじゃー」


「まぁ、そう言うな、常陸が教育しなおせば良かろう、褐色肌の女すきなのであろう?ん?」


「はい、褐色肌に夏場の艶やかな汗、大好物」


「ははははは、変態だな」


と、信長は上機嫌だった。


未来の話しをすると、夢を描くのか好奇心がたてられるのかワクワクとするのだろう、それは俺が異世界ラノベの世界に夢を見ていたのに近い物を感じた。


「あっ、信長様、異国に行ったら女より植物の種や生き物を頼みますね。まだまだ、俺の時代には食べられていた育てやすい作物、美味しい作物がありませんから」


「ん、わかった」


「御大将、支度が整いました」


と、力丸が呼びに来たので俺は自分の船に乗船し帰路に着いた。

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