第156話 大大名
幕府造幣方奉行兼安土暦奉行・正三位大納言黒坂常陸守真琴
俺の長い長い肩書きと官位官職だ。
俺は長い長い肩書きに憧れがある。
プロエクティブデレクター、最高経営責任者、禁裏御守衛総督なんかが憧れだ。
お爺様には内閣総理大臣になれと言われてきたが今いる世界にはない役職。
しかし、奉行を兼任する事ですそれを上回る長い肩書きになり、今や『大納言』お爺様もこれなら褒めてくれるだろう。
織田信長に未来の知識とそこから出る発想力の価値を見出だされ、そして、陰陽力をも認められた。
俺は、再び一度城内の神社の祭壇に向かって拝みなおして、神隠しに感謝をすると言うなんとも不思議な祈りを捧げ、神社を出て神殿の前に流れる堀の水を浴び気を引き締めた。
「よっしゃー、もうこうなったら、とことん織田信長に付き合うかー」
と、叫ぶと、影から見守っていた力丸が、手拭いを持ってきた。
「御大将、私も、あなた様にとことん付き合います。常陸の国を安土に、京の都に劣らない国を作ろうじゃありませんか」
「おっおう、よろしく頼むよ」
俺の愛する常陸の国、茨城が首都と肩を並べる都市となる、魅力度最下位なんて言われない都市を築いてやるか、そう決意した。
「って、そう言えば国持になるわけだから俺の給金ってなくなるの?」
そう、俺は今まで特定の領地から収入を得ていたわけではなく、信長から20万石相当のお金で雇われていた、常陸が俺自身の領地となればそこからの税・年貢が収入になる、常陸国石高53万石の中から俺の収入となると20万石など使えるわけがなく、事実上減額だ。
特段、今まで無駄遣い・・・・・・してきているか、食道楽に注ぎ込んできた。
減額されると今までのような生活は出来ない?
「坊丸からの目録ちゃんと読んでいませんね?」
「あ、うん、この時代のあのくねくねと続く文字読みにくくて慣れないんだよね」
「慣れてください、これからどんどん書状とか届きますから、で、給金の事ですが20万石は今まで通りです」
「へ?」
「御大将、その驚いた時に『へ?』って聞き返す癖も治したほうが良いかと思いますよ。ですから、20万石はそのまま、常陸国53万石と、御大将が先の戦いで下総との国境が私たちが知っている国境とは違うようで、御大将の知っている常陸国の形にするとかで下総の相馬郡・猿島郡・結城郡・岡田郡などなどを含めるとのことが書かれておりましてすべて合わせて、おおよそ70万石にございます。ですから、今までの給金も合わせて90万石の大名にございます」
「90万石ーーーーーー!」
「100万石まであと少しですぞ、御大将」
「力丸、急にキャラ変わった?って、そういえば、ここの城はどうなるの?」
「はい、そのことは、お市様が近江に残りたいとのことを上様に申し上げたので、蒲生氏郷を黒坂家から織田家に戻して城主にして、お市様はこのままここで菩提を弔うとのことです」
「だよね、蒲生氏郷って何気に奥さん信長様の娘だもんね」
・・・・・・実は最近まで知らなかった。
蒲生氏郷、伊達政宗のライバル的存在として、福島県会津を発展させた人物としては知っていたけど、家族の話とか全然聞いていなかったし、ほとんど城の外で仕事を任せていたから、接点が一番少なかった家臣、戦国末期オールスター家臣離脱、蒲生氏郷。
家臣、少ないのに常陸国の統治、大丈夫かな?
やっぱり不安なんですけど。
森力丸・真田幸村・前田慶次・柳生宗矩・伊達政道・・・・・・、蒲生氏郷が離脱すると内政に特化している武将いないような気がする。
う~、なんか困ったぞ。
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