第126話 床払い
梅が綻び、甘い香りがメジロや鶯を呼ぶようになる頃、俺はようやく床払いとなった。
やっと部屋から出られるが、お初の監視が厳しい。
「寒いんだから、これ着ていなさいよね」
と、熊の皮に綿を詰め込まれた全身着ぐるみが渡される。
これでは、ゆるキャラやら夢の国の世界一有名な熊さんだ。
だが、リアルな皮を使っているものだから、本物の熊みたい。
見分けがつかないリアルさ、城のなかで熊が歩いている。
刺されても困るので赤い陣羽織を羽織るが、そうなればまさにリアルなプ○さんだ。
「お初、もう大丈夫だから、お江は背中でスリスリしない」
「駄目です、桜が咲くまでは許しません」
「お初、お前はきっと良い母親になるな」
と、言うと顔を赤らめている。
茶々は茶々で俺がしかめっ面で飲む煎じ薬を飲みやすいように、抹茶を混ぜる工夫をしてくれていた。
日頃のお茶を点てる努力が発揮される。
これはありがたかった。
梅子は庭で鶏の首を鉈で一気に切り落としては、鶏入り雑炊を作ってくれている。
余震も終息傾向になり、瓦屋根が崩れた本丸天守が直され始めている我が城、大津城はまだ軽微な損傷で、長浜城は全壊で建て直し、安土城も天主は傾き建て直しが決まった。
同じく賤ヶ岳城と牧野城は耐震構造&パネル工法の為、軽微な損傷。
大溝城は半壊、建て直しまでは必要ではないが大規模な修理が必要らしい。
安土城は同じ場所に俺の未来の知識の耐震構造にして建て直すらしいが、現在の崩れかけの安土城の建材は再利用され、破却された観音寺城に安土第二城御殿を建設するとのこと、何かに活用が決まっているらしい。
安土が最大都市日本国の首都になる再整備が行われる。
今回の地震で、一部地域に津波が観測され海に面した城下は被害を受けたらしく、俺の提案である海に面した大都市は避けるべきだと言ったことを裏付けた。
京の都も、禁裏・皇居が被害にあったらしく、正親町天皇は耐震構造で作られていた銀閣寺城の御成殿に入城、仮住まいにした。
形としては違えど、行幸となり織田信長の権威は高まった。
◆◆◆(注意)
一部資料には琵琶湖で津波発生の記載も有りますが、若狭湾の間違いでは?などと言われているので琵琶湖の津波は物語りには登場させません。
◆◆◆
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