第100話 織田信長将軍宣下

 1585年1月10日


真新しい青々とした畳が敷かれた銀閣寺城大広間に正親町天皇の使者、太政大臣に復権していた近衞前久の勅使一行が訪れた。


大広間には正装した織田信長家臣、同盟している緒大名が集まる。


勅使が上座に立ち、下座に織田信長が座っている。


「御昇進、御昇進」


と、勅命の一人が二度大きな声で言っている。


俺は官位官職は一門衆のなかでも上だが、織田家には織田家の一門衆としての序列があり、織田信長の嫡子である信忠、次男の信雄、信長の弟の信包、信長の三男の信孝・信長の甥の大溝城城主信澄、信長の弟の長益(有楽斎)、同じく弟の長利、そして俺、織田家で八番目だが広い広間で最前列に座った。


その後ろに、家臣、緒大名が座った。


そんな中、征夷大将軍宣下の勅命が言い渡される。


俺はこんな機会は二度とないと思い、スマートフォンを懐に忍ばせて動画を隠し撮りした。


こんな事なら画素数が良いスマートフォンにしておくべきだったか?いや、耐衝撃性に特化したスマートフォンだから今まで使えたのか?と思いながらバレないように隠し撮り。


勅命が紙に書かれた難しい言葉を読み上げていたが内容は、織田信長を征夷大将軍と任命する勅命が出ましたよ、と言うことで、


「左大臣右近衛大将平朝臣信長を征夷大将軍になるよう勅命を言い渡す」


織田信長は、


「慎んでお受けいたします」


と、返答をする。


征夷大将軍織田信長の誕生の瞬間だった。


将軍宣下の儀式のあと、織田信忠の従二位右大臣・右近衛大将の昇進と、俺の従三位中納言・常陸守の昇進をついでに言い渡された。


儀式が滞りなく終ると、宴席になり大いに盛り上がる。


俺も二十歳となったので、酒をちびりちびりと味わった。


お酒初級者に日本酒はなかなかきつい。


織田信長もこの時代に来て初めて見るくらいに酔っていた。


周りの雰囲気に飲まれてしまい、酔った俺は力丸に抱えられながら寝所へと戻り寝てしまった。

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