第94話 大津城黒坂家
大津城に引っ越して、慶次には安土城屋敷に帰ってもらった。
と言うか、自ら望んで京か安土に行きたいと言う慶次、大津城下にはまだ遊び場がないから暇らしい。
俺は京には屋敷はないので安土城屋敷の留守居役として帰す。
ちゃんと定期連絡係りの仕事は与えて、家臣の往復を二日に一回走らせる。
安土城の蘭丸から連絡事項を受取り、大津城に家臣を走らせる係り。
特には信長からの指示はなく、俺からは城造りや町造りの報告書を送った。
宗矩と幸村が事務的な仕事をして、氏郷は引き続き築城と町造りを続ける、総取締役が筆頭家老の力丸がする。
単純に俺は力丸が出す書類に目を遠し、署名と決裁の判を押した。
お市様は基本的には、俺が住む東御殿には顔を出さない。
東西御殿は繋がっているが、完全独立二世帯型、お市様はお市様で家臣がいて、領地も化粧領を持っていて財布も別で雇っている。
お初とお江は東西御殿自由に行き来しているからどっちが自宅なのかわからないくらいだ。
俺の東御殿の下働きも、もちろん増え、桜子が取りまとめ役になり指示を出している。
俺はのんびり城主ライフ。
午前は力丸達の下に位置する多くの家臣と、道場で鍛練に励み、午後は城内を見て回る、巡察と言えば聞こえが良いがようは散歩だ。
ブラブラして過ごすのが二週間ほど続いた頃、安土城から連絡が着た。
茶々の嫁入り行列の準備が整い、雪が降る前に入城するとの事。
十一月大安吉日
茶々の嫁入り行列が入城した。
俺は天守からその行列を見ると、俺が入城したときより人数の多い行列が連なっていた。
先頭が入城しても、行列の終わりが見えない行列。
信長の権力誇示を意味していた。
その晩、正式な祝言を執り行い結婚した。
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