第82話 大津城築城視察・二ノ丸御殿・三ノ丸家畜屋

大津城は 奥二ノ丸とは別に二ノ丸がある少し変わった縄張り。


本丸を一ノ丸と数えるなら、奥二ノ丸を二ノ丸にして、二ノ丸を三ノ丸に命名すれば良いわけだか、そうなると三ノ丸が四ノ丸になってしまう。


四ノ丸は死ノ丸と言う縁起の悪い名前になってしまう。


基本的には四ノ丸はなく、何らかの違う名前になる。


大津城はそれが奥二ノ丸にあたる。


奥二ノ丸には織田信長の寝所になる御殿を建築中、二ノ丸には大広間が中心となる評定の間・対面の間が作られていた。


こちらはなんの飾り付けもない、広い板の間、家臣やら格下の来客と会うのに使うらしい。


板の間、寒いから、床暖房ないのかよ。


次、作る機会があったら考えよう。


三ノ丸に案内されると何頭も入る大きさの馬小屋に駆け回るための公園みたいな広場が、東側に作られすでに何頭か飼われていた。


お初が馬防柵の外から馬を撫でていた。


西側の三ノ丸には俺が頼んだ豚舎と鶏舎が作られていた。


って何匹飼うつもりなの?なんか、やたらでかいんだけど、養鶏業者になれるよ。


田舎の農家が庭で飼うレベルで注文したんだけどな。


まぁ、もしもの時には兵糧に出きるから良いのか?


城内には、味噌や酒蔵を持った大名もいたらしいが、うちはそれが養豚、養鶏業になるわけだな。


「マコ~帰ろ~」


始まったよ、うちの義理妹、お江のわがまま。


まぁ、帰るか今回は、前回の指示がなされているのを確認できたし、なにより寒い。


俺は寒いのが苦手だ、赤いマントにくるまりミノムシのようになっている。


義理妹達も体冷やして風邪でもひかせたら大変な事になる。


先に安宅船に茶々に戻るように指示をして、俺は氏郷案内で城全体を足早に一周した。



「御大将、城に主神を御迎えしたいと思いますがいかがでしょうか?」


と、氏郷が安宅船に向かう道すがら言った。


「主神?神社ってこと?」


「はい、地元の神と御希望の神がおられましたら奉りますが」


本丸天守の最上階に神棚があったり城の郭の中に小さな神社があったりするあれか?だったら、選択は簡単。


「鹿島神宮からの分社をお願いしてもらえるかな?武御雷を主神としてお祀りしたいけど大丈夫かな?」


「神社なら問題なきかと」


「ん?問題ある場合ってあるの?」


「えぇ、比叡山がすぐ近くですから、もともと、坂本の城は西近江を治めるためと、比叡山を監視するための城でした。この度、破却されこの大津に新しい城が築かれるわけですから、比叡山の監視や僧兵との事も考えねばなりません。南蛮の神を入れれば、いらぬ争いになるかと」


比叡山の押え?根本中堂全部焼き払ったわけでわけではないようで、今だに寺としては存在するらしく、また、武装しないかと見張らねばならないらしい。


いやいや、そんな重要な場所を俺に預けて良いのか?と、疑問が出てしまう。


織田信長は無駄なことはしない。


なにか、考えがあるのか?


俺が鹿島神宮を崇拝していることに関係があるのだろうか?


機会があったら聞かなければ。


と、思いながら安宅船に乗った。






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